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体外受精、胚移植 たいがいじゅせいはいいしょく

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家庭医学館の解説

たいがいじゅせいはいいしょく【体外受精、胚移植】

◎体外で精子(せいし)と卵子(らんし)を受精させて受精卵を子宮内へ移植する
 世界で初めて体外受精による赤ちゃんが誕生して以来約25年、日本でも、その普及にはめざましいものがあります。体外受精は現在、大学病院から個人医院(不妊クリニック)まで広く行なわれている、ほぼ確立された不妊治療法です。
 全国で体外受精により誕生した子どもの数は、1万5000人以上になります。
●体外受精の適応
 体外受精は、体外で精子と卵子を受精させるため、本来の受精の場である卵管を必要としません。したがって、卵管に障害がある場合が、そのもっともよい適応となります。
 以下に、日本での体外受精のおもな適応症をあげます。
■卵管不妊(らんかんふにん)
 癒着(ゆちゃく)などにより卵管がつまっていたり、子宮外妊娠(「子宮外妊娠」)などにより両側の卵管を摘出している場合。
子宮内膜症(しきゅうないまくしょう
 重症の子宮内膜症(「子宮内膜症」)で、薬物療法や外科的治療(腹腔鏡下(ふくくうきょうか)手術、開腹手術)をしても妊娠しない場合。
■男性不妊
 精子の数や運動率が不良で、人工授精をしても妊娠しない場合。また、極端に精子が不良のときは、顕微授精といって、顕微鏡で見ながら精子を直接卵子に注入する操作が必要になります。
■免疫性不妊
 女性のからだに、精子に対する抗体が存在し、精子の運動性が障害されて卵子と受精できない場合。
■原因不明不妊
 女性、男性のどちらにも異常がなく、一般的治療をしても何年間も子どもができない場合、体外受精は治療のみならず、受精障害の最終的検査としても有用です。
 日本では、夫や妻以外の第三者の精子や卵子を使った体外受精や、第三者の子宮への移植(代理母)、遺伝子診断を目的とした場合などの体外受精は倫理的に認められていません。
●体外受精の手順
 2~3日の入院を必要としたり、外来通院のみで可能な場合など、施設によって多少異なりますが、大筋はつぎのとおりです。
排卵誘発(はいらんゆうはつ)
 妊娠率をあげるためには、多くの成熟した卵子を採取することが重要です。そのために、自然に排卵してしまうのを防ぐ薬を併用しながら、排卵誘発剤(hMG、FSH製剤)を注射し、卵巣を刺激して多数の卵胞(らんぽう)をつくります。
 しかし、この方法でうまくいかない場合は、飲み薬による排卵誘発法や、なにも使わない自然の状態で採卵(さいらん)することもあります。
②採卵(卵子を採取すること)
 ①の排卵誘発を行ないながら、経腟(けいちつ)的に(腟から器具を入れて)超音波エコーで卵胞の大きさを計測し、血液や尿中のホルモンの測定により、卵胞の発育状態を調べます。
 卵胞が十分に発育したら、超音波エコーで卵胞を見ながら、経腟的に細い針を用いて卵子を吸引して採取します。麻酔をかけるので痛みはほとんどなく数分で終了します。
 どうしても経腟的に採卵できない場合は、腹腔鏡を使い、経腹的に(おなかに穴をあけて)行なうこともあります。
③精子の処理と媒精(ばいせい)
 射精されてすぐの精子は、受精する能力がまだ不十分なので、数時間培養して受精能を高め、活発に運動している精子のみを集めます。また、排卵する前に採取した卵子も、数時間培養し、十分に成熟させます。そして、小さな容器の中で、精子と卵子を一緒にします(媒精)。
④卵子と精子の培養
 卵管内に近い環境に設定された培養液と培養器の中で、約2日間培養します。培養後1日目には受精の有無がわかり、2日目には受精卵が数個に分裂して胚(はい)になっている状態が確認できます。
⑤胚移植
 状態の良好な胚3~4個を、細いチューブを用いて吸引し、腟から子宮内へ移植します。
 状態のよい胚をたくさん移植すれば、妊娠率は高くなりますが、それと同時に多胎妊娠(たたいにんしん)(「多胎妊娠とは」)の発生率も高くなります。産科学会では、移植胚の数は原則として3個以下とし、余った胚は凍結保存することを勧めています。凍結保存した受精卵は、最初の胚移植で妊娠しなかったときに、その後の自然な月経周期で着床に適した時期に、解凍して子宮に戻します。
⑥黄体(おうたい)補充療法と妊娠の確認
 受精卵が子宮の内膜に完全に接着(着床(ちゃくしょう))しなければ妊娠が成立しないので、これを助けるために黄体ホルモンを使用します。
 採卵後20日して月経を認めなければ、妊娠反応検査を行ないます。
●体外受精の成績
 現在では、日本の治療成績は、欧米と比べて同程度のレベルになりました。1回の体外受精で妊娠できる率は、15%から50%と病院によりさまざまで、妊娠しても約25%が流産に終わり、生産率(赤ちゃんを得られる確率)は、全国平均で約17%といわれています。
 また、形態異常児の発生頻度は、自然に妊娠した場合と変わりありませんが、多胎妊娠率が高いことが問題となっています。
 費用も健康保険制度の適応外で、自費診療となり、10万円から100万円と病院により異なります。
 いずれにせよ、実績のある施設を選び、担当医に十分な説明を受けて、納得したうえで治療を受けることがたいせつです。

出典|小学館
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それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。この事典によって自己判断、自己治療をすることはお止めください。あくまで症状と病気の関係についてのおおよその知識を得るためのものとお考えください。

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