余る(読み)アマル

デジタル大辞泉 「余る」の意味・読み・例文・類語

あま・る【余る】

[動ラ五(四)]
多すぎて残りが出る。使いきれずに残る。「―・った小遣いは貯金する」「人手が―・る」
(多く「…にあまる」の形で)
数量などがある基準を超える。「身の丈六尺に―・る大男」「五万人に―・る観客
㋑程度や力などが、ある程度以上にはなはだしくなる。「勢い―・って転倒する」「目に―・る言動」「身に―・る重責
割り算で、割り切れないで残りが出る。
いっぱいになってあふれる。
「忍び給へど、御袖より(涙ガ)―・るも、所せうなむ」〈須磨
[用法]あまる・のこる――「余る」はある基準の量を超えて何かがあること。「旅館の支払いが済んでも金が余る」「身に余る光栄」「自分の手に余る難しい問題」「一〇を三で割ると三が立って一が余る」などと用いる。◇「残る」は、なくならないで、まだある場合に用いる。「使えるお金が残る」「十分考えたが、まだ疑問が残っている」「一〇から八引くと二残る」◇「御飯おかずが余った」は、四人の食事に六人分のおかずがあったというような場合。四人分用意されていたのに、全部は食べきれなかったときは「おかずが残った」となる。
[類語]残す余す浮かす余りある有り余るだぶつく繰り越す

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「余る」の意味・読み・例文・類語

あま・る【余】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
  2. 数量がある基準を超える。
    1. [初出の実例]「囲み、大きなる竹の如く、長さ一丈に余(あまり)き」(出典常陸風土記(717‐724頃)行方)
  3. 才能、勢い、気持などが、ある範囲からあふれ出る。ある程度以上にはなはだしくなる。
    1. [初出の実例]「大君を 島に放(はふ)らば 船(ふな)阿麻理(アマリ) い帰り来むぞ 我が畳ゆめ」(出典:古事記(712)下・歌謡)
    2. 「在原業平は、その心あまりて詞たらず」(出典:古今和歌集(905‐914)仮名序)
  4. 能力を超える。分に過ぎる。
    1. [初出の実例]「田舎人の歌にては、あまれりや、たらずや」(出典:伊勢物語(10C前)八七)
    2. 「分別に余(アマ)って当惑してゐた」(出典:門(1910)〈夏目漱石〉一三)
  5. ある基準を超えて余分が出る。必要を満たして残りが生じる。
    1. [初出の実例]「げすの詞には、かならず文字あまりたり」(出典:枕草子(10C終)六)
  6. 割り算で、割り切れないで残りが出る。
  7. ある程度に達するまでのゆとり、余地がある。使わない、到達しない部分があとに残る。
    1. [初出の実例]「蟇口をとり出した。中には払ひに余るほど這入ってる筈だ」(出典:昇天(1923)〈十一谷義三郎〉六)
  8. ( から転じて ) 子供などがさわぐ。ふざけすぎる。
    1. [初出の実例]「あまるな 余勿(あまるな)なるへし若年の者なとの元気溢れて悪(わろび)事なとするを阿万留と云は元気の余ると云事なるへし」(出典:菊池俗言考(1854))

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