俗講(読み)ぞくこう(英語表記)Su-jiang

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

俗講
ぞくこう
Su-jiang

中国の仏教儀礼。俗人に対する仏典講釈のこと。この語の初出は唐の貞観年間 (627~649) であるが,その内容は東晋の道安の頃までさかのぼることができる。仏典を俗人に講釈する場合には,わかりやすくし,かつ飽きさせないための工夫が必要であった。皇帝,貴族や士大夫という知識人を聴衆としている間はよかったが,一般民衆を相手とする場合には絵解きや節をつけての読経も必要となり,次第に卑俗に流れていった。の頃になると,俗講は「卑俗の講釈」の意味にもなり,説経僧の間から,後世の講釈師の原型が生れることになった。

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デジタル大辞泉の解説

ぞっ‐こう〔ゾク‐〕【俗講】

中国、唐代に行われた仏教の講釈。仏教説話を描いた絵や韻文を用いるなどして平易に説いたもので、その台本変文という。宋・元代には仏教を離れ、講談から通俗小説に発展した。

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世界大百科事典 第2版の解説

ぞくこう【俗講 sú jiǎng】

中国,唐代の中期(9世紀)以降に寺院盛り場で語られた講釈。俗とは通俗の意ではなく在俗の一般大衆のこと。したがってこの名称は僧侶が本来その語り手であったことを示す。その淵源は,仏説を平易に語り聞かせた〈唱導〉という通俗説法に求められるが,唐代ではこれが芸能にまで発展するにいたった。ただし唐代の俗講には三つの種類があった。第1は詔勅によって定められた日に選ばれた寺院で催されるそれで,例えば入唐僧の円仁が記録している長安での七つの寺の俗講がそれで(《入唐求法巡礼行記》会昌元年(841)の条),《華厳経》や《法華経》などが講ぜられている。

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大辞林 第三版の解説

ぞっこう【俗講】

唐代の中国で、在家信者を対象に行われた仏教経典の講義。絵や歌を取り入れて平易に教説を説いたもので、その台本を変文という。次第に寺院を離れ、内容も通俗化した。

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世界大百科事典内の俗講の言及

【小説】より

…また一方で唐の中ごろから,都市の盛り場で語り物が口演され始めた。それには〈市人小説〉と呼ばれる歴史講談を主としたものと,寺院で定期的に語られた〈俗講〉という,主として仏典や仏教説話を講釈したものとがあった。後者は〈変文〉と呼ばれる読み物として20世紀はじめにその写本が敦煌から大量に発見された。…

※「俗講」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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