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信田妻 しのだづま

百科事典マイペディアの解説

信田妻【しのだづま】

説経節代表作の一つ。の母から生まれた安倍晴明が,秘符と秘玉を与えられ陰陽師(おんみょうじ)となり蘆屋道満(あしやどうまん)に験比べで勝つというもの。狐との婚姻によって生じた子が特異な力を示す話は《日本霊異記》上巻2話にもあり,古くからの話型である。

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世界大百科事典 第2版の解説

しのだづま【信田妻】

信太妻とも書く。説経節または古浄瑠璃の作品。五説経(説経節の五つの代表作)の一つに数えられるが,説経節正本の所在不明。陰陽師安倍晴明の出生にまつわる話と,蘆屋道満(あしやどうまん)との術くらべの話からなる。命を助けられた狐が人に姿を変えて安倍保名と契り子を生む。その子は安倍の童子と名づけられる。ある日,その正体を子に見られた母は〈恋しくは尋ね来て見よ和泉なる信太の森のうらみ葛の葉〉の歌を残して姿をかくす。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

信田妻
しのだづま

古浄瑠璃(こじょうるり)。5段。作者不明。1674年(延宝2)鶴屋(つるや)版の本が古い。陰陽博士(おんみょうはかせ)安倍晴明(あべのせいめい)の説話に狂言『こんくわい』が結合し、仮名草子『鶴のさうし』が転用されたものらしい。村上(むらかみ)天皇の御代(みよ)、摂津(大阪府)阿部野在住の阿部保明(やすあき)の子保名(やすな)は、父を石川悪右衛門(あくえもん)に殺されてその仇(あだ)を討ち、キツネと結婚して信田の森近くに住む。夫婦の子の阿部童子に母はその正体を知られ、「恋しくば尋ね来て見よ和泉(いずみ)なる信田の森のうらみ葛(くず)の葉」の歌を残して消える。のち童子は阿部晴明と名のる。一方の陰陽博士芦屋道満(あしやどうまん)は弟悪右衛門の敵保名を殺すが、晴明は父を蘇生(そせい)させ2人で禁裏へ参内、道満は首をはねられる。晴明は天文博士として出世し末代まで栄える。のち五説経の一つにもなったが、説経浄瑠璃の正本は残っていない。変化に富んだ名作で、のち竹田出雲(いずも)作『芦屋道満大内鑑(おおうちかがみ)』を生む原動力になったことが注目される。[関山和夫]
『荒木繁・山本吉左右編・注『説経節』(平凡社・東洋文庫)』

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世界大百科事典内の信田妻の言及

【蘆屋道満】より

…術を用いてこれを知った晴明の師,大唐荆山の伯道上人は,来朝して晴明の遺骨を集め生活(しようかつ)続命の法を修して蘇生させ,道満の首を斬り,利花をも殺す。古浄瑠璃《信田(しのだ)妻》は,晴明・道満伝説を脚色したものであるが,道満を蘆屋宿禰の後裔とし,宿禰以来,法道仙人の法術を伝えたとする。道満の生国は,《簠簋抄》に薩摩国とする以外は,すべて播磨国とし,《峯相記》は同国佐用郡の奥に住し,後裔は英賀(あが)・三宅にあってその芸を継ぐとする。…

【蘆屋道満大内鑑】より

…1734年(享保19)10月大坂竹本座初演。異類婚姻譚として著名な信田妻(しのだづま)の伝承は17世紀後半からしばしば人形浄瑠璃や歌舞伎に取り上げられていたが,本作はそれらを集大成した作品。秘伝書《金烏玉兎集(きんうぎよくとしゆう)》をめぐる安倍保名(やすな)と蘆屋道満との対立を主筋とし,保名に助けられた白狐が許婚葛の葉姫の姿を借りて契りを交わし一子を儲けるという安倍晴明の出生譚を絡めたもの。…

※「信田妻」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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