元政(読み)ゲンセイ

デジタル大辞泉 「元政」の意味・読み・例文・類語

げんせい【元政】

[1623~1668]江戸前期の日蓮宗の僧。京都の人。俗姓、石井氏。いみなは日政。京都深草に住み、熊沢蕃山石川丈山らと交遊法華経研究と詩文にすぐれた。著「本朝法華伝」「草山集」など。

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精選版 日本国語大辞典 「元政」の意味・読み・例文・類語

げんせい【元政】

  1. 江戸前期の日蓮宗の僧。漢詩人。歌人。姓は石井氏。諱(いみな)は元政、法名は日政。はじめ彦根藩に仕えたが、のち妙顕寺の日豊に師事。京都深草に元政庵(竹葉庵・称心庵)を建てて法華経の修行に励んだ。詩文にすぐれ、熊沢蕃山、石川丈山、明人陳元、斌貝らと交遊。「深草の元政」とも。著に「扶桑(ふそう)隠逸伝」「本朝法華伝」「食医要編」、詩文集「艸山集」など。元和九~寛文八年(一六二三‐六八

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「元政」の意味・わかりやすい解説

元政
げんせい
(1623―1668)

江戸前期の日蓮(にちれん)宗の僧侶(そうりょ)で漢詩文家、歌人。京都に出生。俗姓石井氏。元政はその名。通称吉兵衛。出家して法名日政。父石井元好(いしいもとよし)は地下(じげ)官人の家柄で、梶井宮(かじいのみや)に出仕し、のち毛利輝元(もうりてるもと)の家臣となったが、仕えを退き京都に住む。元政は13歳で近江(おうみ)彦根(ひこね)藩主井伊直孝(いいなおたか)に出仕したが、26歳で仕えを退き、出家し仏道を修行した。学僧であるが、文学者として有名。漢詩では石川丈山(いしかわじょうざん)と並び称せられる。漢詩文集に『草山集(そうざんしゅう)』がある。明(みん)人、陳元贇(ちんげんぴん)と親交があり『元元唱和集』の刊本がある。和歌は松永貞徳(まつながていとく)の門人で、家集に『草山和歌集』がある。歌風は平明。和文では『身延道(みのぶのみち)の記』、漢文では『扶桑隠逸伝(ふそういんいつでん)』など多くの著書、校訂本がある。その京都・深草の住居称心庵は瑞光寺(ずいこうじ)となり、元政の墓は「三竿竹(さんかんちく)の墓」とよばれ有名。

宗政五十緒 2017年7月19日]

 里(さと)の犬のあとのみ見えて降る雪もいとど深草冬ぞさびしき

『『深草元政集』全4巻(1978・古典文庫)』『宗政五十緒著「元政――その出自」(『日本近世文苑の研究』所収・1977・未来社)』

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改訂新版 世界大百科事典 「元政」の意味・わかりやすい解説

元政 (げんせい)
生没年:1623-68(元和9-寛文8)

近世前期の文学者,法華僧。俗名石井八郎元政,出家後の諱(いみな)は日政。号は日如,日峰,不可思議,泰堂など。もと近江彦根藩士。致仕して妙顕寺日豊の下に身を投じ,のち山城の深草に称心庵を結んで,文事にふけり,深草の元政と称された。歌は松永貞徳の門。熊沢蕃山,加藤盤斎その他と広く交わり,学僧としても名高かった。著書としては詩集《艸山集》をはじめ,《草山和歌集》《身延道の記》《温泉遊草》《本朝法華伝》《扶桑隠逸伝》などがある。
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朝日日本歴史人物事典 「元政」の解説

元政

没年:寛文8.2.18(1668.3.30)
生年:元和9.2.23(1623.3.23)
江戸前期の日蓮宗の僧。京都深草瑞光寺の開山で,日政と号し不可思議,称心庵とも称した。石井元好の5男,13歳のとき彦根藩主井伊直孝に近侍。19歳で病を得て出家の三願を立てた。「一に出家せん,二に父母孝養をつくさん,三に天台三大部を読了せん」と。26歳のとき,致仕して妙顕寺日豊の門に入る。33歳におよび,深草に称心庵(のち瑞光寺)を結び,ここを拠点に修行に励む一方,石川丈山 ら多くの文人墨客とつきあいを結んだ。宗学者とともに文人としても有名で,旅日記『身延道の記』は後水尾院より嘉賞された。三願を成就したその生涯の足跡は大きい。<著作>『草山和歌集』『元々唱和集』<参考文献>望月歓厚『日蓮宗学説史』

(佐々木馨)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「元政」の解説

元政 げんせい

1623-1668 江戸時代前期の僧。
元和(げんな)9年2月23日生まれ。もと近江(おうみ)(滋賀県)彦根藩士。慶安元年京都の日蓮宗妙顕寺の日豊のもとで出家。明暦元年京都郊外の深草に称心庵をむすぶ。詩文にすぐれ,北村季吟,熊沢蕃山(ばんざん),陳元贇(ちん-げんぴん)らとまじわる。寛文8年2月18日死去。46歳。俗名は石井吉兵衛。法名は日政。号は不可思議,妙子など。著作に「草山集」「元元唱和集」など。
【格言など】心ここにあらずんば,たとい膝下(しっか)にありといえども親を見ざるなり(「身延行記」)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「元政」の意味・わかりやすい解説

元政
げんせい

[生]元和9(1623).2.23.
[没]寛文8(1668).2.18. 京都
江戸時代初期の詩僧。幼時から俊才を称され,井伊直孝に仕えたが,山水を好み書物を愛した。のち日蓮宗に深く帰依して出家し,『法華経』研究に沈潜,京都の南深草の瑞光寺を開山して住し,「深草上人」と呼ばれた。明の遺臣陳元贇と親交を結んで,詩を唱和したことが知られる。彼の詩は明の袁宏道の影響があるといわれ,その平明清幽な詩趣は当代にぬきんでている。『草山集』をはじめ著述が多い。

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百科事典マイペディア 「元政」の意味・わかりやすい解説

元政【げんせい】

江戸時代の日蓮宗の僧,文人。彦根(ひこね)藩主井伊直孝に仕え,俗名石井元政と称する。妙顕(みょうけん)寺日豊の下に剃髪(ていはつ),法名は日政。京都深草に住み,瑞光寺を開創。律を厳粛に保ち,世に草山律,法華律と称する。

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367日誕生日大事典 「元政」の解説

元政 (げんせい)

生年月日:1623年2月23日
江戸時代前期の日蓮宗の僧
1668年没

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