家庭医学館 「先天性喘鳴」の解説
せんてんせいぜんめいせんてんせいこうとうぜんめい【先天性喘鳴(先天性喉頭喘鳴) Congenital Stridor】
乳児や子どもの気道(きどう)(空気の通り道)は、おとなに比べると狭く、やわらかいので、とくに狭い部分があると、そこを空気が通過するときに乱気流が生じて、呼吸のたびに「ヒューヒュー」「ゼーゼー」「ピーピー」といった音が出ます。この音を喘鳴(ぜんめい)といいます。喘鳴が、生まれてすぐか、生後間もなく出てくる場合を、先天性喘鳴といいます。
[原因]
先天性喘鳴は、症状につけられた名称で、空気の通り道を狭くする病気すべてが原因になります。
喘鳴があるときは検査をして、原因となっている病気を知ることがたいせつです。原因となる病気には、つぎのようなものがあります。
喉頭軟弱症(こうとうなんじゃくしょう) 「喉頭軟弱症」。
声帯(せいたい)まひ 声帯の動きが悪い。
舌根嚢胞(ぜっこんのうほう) 粘液(ねんえき)のたまった袋状の腫瘤(しゅりゅう)(こぶのような腫(は)れもの)が舌根部(ぜっこんぶ)にできる。
声門下血管腫(せいもんかけっかんしゅ) 声帯の下に血管腫ができる。
喉頭横隔膜症(こうとうおうかくまくしょう) 声帯の間に鳥の水かきのような膜がある。
声門下狭窄(せいもんかきょうさく) 声帯の下の部分が狭い。
[治療]
頸部(けいぶ)のX線検査と、鼻から入れる喉頭ファイバースコープ検査を行ない、原因となっている病気を明らかにします。
原因となる病気によって治療が異なります。
成長とともに自然によくなる病気もありますが、緊急に対処しなければならない病気もあります。喘鳴は命にかかわる症状でもあるので、小児科と耳鼻咽喉科(じびいんこうか)の両方を受診しましょう。
その際、哺乳(ほにゅう)で標準の量を口から飲めているか、体重が増加しているか、喘鳴だけでなく、息を吸うときに陥没呼吸(かんぼつこきゅう)(呼吸をするときにのどや胸がへこむ)がないか、泣き声が弱くないか、声がれがないかを観察し、医師に報告しましょう。