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先験的観念論 せんけんてきかんねんろんtranscendental idealism; transzendentaler Idealismus

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

先験的観念論
せんけんてきかんねんろん
transcendental idealism; transzendentaler Idealismus

カント認識論における批判主義的方法論に基づく観念論の立場。カントは G.バークリーの経験論的,質料的,主観的観念論に対して,自己の批判的観念論を先験的観念論と称した。すなわち,バークリーでは認識は経験的主観所産であるとされたが,カントでは経験的対象の可能性の根拠が主観の先天的形式に求められた。この意味でカントの主観は経験的主観や個人的主観ではなく,先験的主観である。その後,先験的観念論という名称は J.フィヒテ,F.シェリングに引継がれたが,その観念論は思弁的色彩を強め,フィヒテでは知識学の立場から,認識は根源的な自己意識としての知的直観の所産であるとされ,シェリングでは自然哲学との関連において,またフィヒテの知識学に対して,理論と実践との統一としての芸術が導入され,知的直観は美的直観にほかならないという,美的観念論としての先験的観念論が主張された。新カント学派ではカントの先験的方法論の再興が試みられ,認識主観と区別されて先験的主観が確立された。

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デジタル大辞泉の解説

せんけんてき‐かんねんろん〔‐クワンネンロン〕【先験的観念論】

カント哲学で、その認識論の立場。認識をすべて主観の所産とする経験的観念論に対して、空間に認識される事物実在性を疑いはしないが、それは物自体ではなくて現象であり、人間の認識主観の先天的な直観形式である時間・空間と、先天的な思惟(しい)形式である範疇(はんちゅう)とによって整理構成されたところに生じるものとする。批判的観念論。超越論的観念論

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