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処女懐胎 ショジョカイタイ

世界大百科事典 第2版の解説

しょじょかいたい【処女懐胎】

処女が,不思議な仕方で妊娠し,異能の男子を出産すること。古代ギリシア・ローマやオリエントをはじめ世界の各地に分布する英雄神話や王の誕生物語に見られるが,母親がすでに結婚している場合には,単なる英雄伝説にすぎず,処女懐胎物語とは区別される。妊娠の手段に,しばしば宗教儀礼や呪術が多用されることも物語に共通しているが,母親が処女であることが,物語要素の第1条件を構成している。処女崇拝あるいは処女の神聖視との関連が指摘されるであろう。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

処女懐胎
しょじょかいたい

比較宗教学上の用語として、男性の協力なしに女性が懐妊することをさすのではなく、神と婦人との一致の結果、人間の子を宿すことをさす。キリスト教においては、聖マリアが処女のまま、聖霊の力によってイエス・キリストを懐妊したことをいう。「マタイ伝福音書(ふくいんしょ)」1章18~25と「ルカ伝福音書」1章26~38の記述を調べると、ギリシア神話の処女懐胎とは違っている。ギリシア神話では、ある神が地上に下って女性と交わり、子供の出産に父親としての役割を果たすが、『聖書』では、聖霊はマリアと交わったわけではないから、生物学的な父親の役目を果たしてはいない。そのうえ、『聖書』のこの記述で強調されることは、原罪によるけがれを超越した神の子メシアとしてのイエスの権威であって、処女懐胎はその帰結として述べられている。
 処女懐胎が教えることは、神の奇跡的力ではなく、むしろ神の救いのわざが、すでにマリアの胎内を通じて現実化されていることである。これが聖母マリアの「無原罪の御やどり」で、このモチーフは中世末期から絵画などに取り上げられ、ムリリョやグレコの名作を残している。[門脇佳吉]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内の処女懐胎の言及

【卵】より

…キリスト教会,コプト教会,イスラムのモスクなどでも,ダチョウの卵をはじめ大型の卵を創造や再生の象徴として建物内部につり下げる習慣があった。このダチョウの卵はマリアの処女懐胎を表し,キリスト教美術の題材にされている。またユダヤ教徒は過越の祭に復活と来世を示す卵を食べたが,習俗としてキリスト教徒へも伝えられた。…

【マリア】より

…つまりマリアは前述のように〈神の母〉テオトコスであるとされる。キリストは聖霊によってマリアの胎内に宿ったのであり,それゆえにマリアは処女のままみごもったのであり,しかも原罪を負った通常の女性とは異なった〈無原罪Immaculata〉の女性であり(処女懐胎),人類を罪におとしいれたイブとは逆に救世主(メシア)を生んで人類救済の役を担った女性である。この意味で人間の救いのために〈とりなしをする女Mediatrix〉でもある。…

※「処女懐胎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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