北海道北部、宗谷(そうや)総合振興局管内の町。1956年(昭和31)鬼脇(おにわき)、鴛泊(おしどまり)の2村が合併して東利尻村となり、1959年町制施行して東利尻町となる。1990年(平成2)利尻富士町と改称。利尻島の東半部を占め、利尻富士の異名をもつ利尻山(1721メートル)東麓(とうろく)にあたる。古くからニシン漁がさかんに行われ、1823年(文政6)には場所請負人藤野喜兵衛が北部の本泊(もとどまり)に運上屋を設けた。明治以降漁業開発が進み、ニシン漁は明治中期から大正にかけて最盛期を迎えた。昭和30年ごろを境にニシン漁は衰退したが、現在も産業の中心は漁業で、ウニ、タコ、カレイなどのほか、良質のコンブは利尻昆布の名で知られる。鴛泊港と稚内(わっかない)港、礼文(れぶん)島の香深(かふか)港との間に定期航路があり、本泊の利尻空港は札幌丘珠(おかだま)空港と結ばれるほか、利尻―新千歳間の季節運行便がある。利尻山やオタトマリ沼、姫沼などは利尻礼文サロベツ国立公園域で、観光はニシン漁衰退後の町の経済を支えている。面積105.62平方キロメートル、人口2458(2020)。
[岡本次郎]
北海道北部,宗谷支庁利尻郡の町。人口3037(2010)。1990年東利尻町が改称。利尻島の北部と東部を占め,中央に利尻山(1721m)がそびえる。海岸に集落が散在し,中心は北部の鴛泊(おしどまり)。気温は沿岸一帯を流れる対馬海流の影響により他の道内北部地域より温暖である。19世紀初めに松前藩のニシン漁場として開発され,明治末期から大正期にわたり,ニシン漁の黄金時代を迎えた。現在も基幹産業は漁業で,鴛泊および南東岸の鬼脇の2漁港を中心にコンブ,ウニ,カレイ,イカなどの漁獲が多く,特にリシリコンブはだしコンブとして知られる。利尻山や海岸線の一部は利尻礼文サロベツ国立公園に属し,夏季には観光客や登山客でにぎわう。鴛泊港から稚内(わつかない)および北西の礼文島へフェリーが通じ,北西部の本泊にある利尻空港からは新千歳空港へ定期便が通じる。
執筆者:赤池 享一
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…標高1719m。島全体が円錐形の成層火山で,日本海上や天塩(てしお)海岸から海上に突出した美しい山容が望まれ,利尻富士とも呼ばれる。基盤は第三紀の堆積岩と火山岩から成り,最初に玄武岩質の火砕岩,溶岩を噴出し,さらにその上に安山岩溶岩が噴出,更新世までに主成層火山が形成された。…
※「利尻富士」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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