利尻礼文サロベツ国立公園(読み)りしりれぶんサロベツこくりつこうえん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

利尻礼文サロベツ国立公園
りしりれぶんサロベツこくりつこうえん

北海道北部,利尻島礼文島,およびその対岸稚内市から豊富町幌延町にいたる海岸砂丘地域,サロベツ原野を含む自然公園。面積 241.66km2。1965年,利尻礼文国定公園として指定。1974年,サロベツ原野が追加指定されて国立公園となり,現名称に改称。2003年,上サロベツ原野の一部などを編入し,公園区域を拡張。利尻島は稚内市から約 40kmの海上にあり,中央には標高 1721mの利尻山がそびえ,山腹にはポン山,姫沼,オタトマリ沼などの側火山(寄生火山)や湖沼がある。礼文島は利尻島のさらに北西にあり,丘陵性の島で,利尻島とは対照的な形を示す。西海岸は急峻な海食崖になっていて,桃岩,北端のトド島,スコトン岬などが名所として知られる。高山植物が豊富で,各所に美しいお花畑が見られ,レブンソウ,レブンウスユキソウなど珍しいものも多い。稚内市坂の下から抜海,稚咲内を経て幌延町にいたる海岸は帯状に発達した砂丘で,その間には湿地,沼沢地が点在し,湿地性植物,カシワトドマツなどが美しい。サロベツ原野はサロベツ川流域に形成された低地の代表的な泥炭地。標式的な低位中位・高位の泥炭層の分布と,大規模な泥炭地性植物(オオイヌノハナヒゲホロムイソウガンコウランツルコケモモヒメシャクナゲ,エゾカンゾウ,ワタスゲヤチヤナギヒオウギアヤメヤマドリゼンマイアシ,イワノガリヤスなど)が見られる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

利尻礼文サロベツ国立公園
りしりれぶんさろべつこくりつこうえん

北海道北部にある国立公園。日本海に浮かぶ利尻島、礼文島と、北海道本島の稚内(わっかない)市から豊富(とよとみ)町にかけての日本海沿いのサロベツ原野に指定されたもので、面積241.66平方キロメートル。1965年(昭和40)国定公園に指定、1974年サロベツ原野を加えて国立公園に昇格した。1980年遠音別岳を削除。

 利尻島は円錐(えんすい)火山利尻山からなる火山島で、海上に美しい山容をそばだたせる。公園区域は、山体の中腹以上と沓形(くつがた)岬、天望台、御岬(みさき)、姫沼、オタドマリ沼などの景勝地、南斜面のチシマザクラ自生地などが含まれる。礼文島は中央部の礼文岳(490メートル)を最高点とする丘陵と海岸段丘からなる比較的平坦(へいたん)な島で、西海岸は海食崖(がい)の発達が著しく、スコトン岬、海驢(とど)島、西上泊(にしうえどまり)海岸、桃岩などの景勝地がある。両島には、リシリソウリシリヒナゲシ、リシリリンドウ、レブンサイコ、レブンウスユキソウ、リシリヒトリなど両島の名をとった植物や昆虫も多い。

 サロベツ原野は総面積230平方キロメートルの大湿原で、潟湖のペンケ沼(トー)、パンケ沼(トー)などが残り、原生花園では初夏、エゾカンゾウ、ワタスゲ、ヒオウギアヤメなどが咲き乱れる。サロベツ原野と日本海の間の数列の砂丘上には、トドマツ、シラカバ、ミズナラなどからなる稚咲内(わかさかない)海岸砂丘林がある。なお、サロベツ原野は2005年(平成17)に、ラムサール条約登録湿地となった。

[岡本次郎]


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