前島村(読み)まえじまむら

日本歴史地名大系 「前島村」の解説

前島村
まえじまむら

[現在地名]藤枝市前島一―三丁目・前島・田沼たぬま一―四丁目・青葉町あおばちよう二丁目・同四丁目・東町ひがしちよう小石川町こいしがわちよう一―四丁目・駅前えきまえ一―三丁目・高岡たかおか三丁目

大井川左岸の扇状地瀬戸せと川との間に位置し、東は高柳たかやなぎ村。鎌倉時代には大井川左岸縁に立地していた。志太しだ郡に属する。「海道記」の貞応二年(一二二三)四月一二日条に前島とみえ、遠江国初倉はづくら宿(現島田市)を過ぎて大井川を渡った著者は「この道を二、三里ゆけは、四望かすかにして遠情おさへかたし、時に水風例よりもたけりて、白砂、霧の如くに立つ、笠を傾けて駿河の国に移りぬ、前島をすくるに波は立たねと、藤枝の市を通れは花は咲きかかりたり、前島の市には波のあともなし」と記しており、前島は駿河国における西からの玄関口として宿が成立し、市も開かれていた。その後も仁治三年(一二四二)八月に東海道を下った「東関紀行」の著者や、弘長二年(一二六二)に下った西大寺叡尊が前島宿を宿泊地としている(「関東往還記」同年二月二一日条)


前島村
まえしまむら

[現在地名]高槻市前島一―五丁目・前島・東天川ひがしあまがわ一―三丁目・須賀すが

梶原かじわら村の南にあり、檜尾ひお川の淀川流入口左岸、淀川右岸に位置し、東は淀川を挟んで河内国交野かたの(現枚方市)。慶長一〇年(一六〇五)摂津国絵図には「前島村」とみえ高一三六石余。元和初年の摂津一国高御改帳では二八六石余と倍増し、のち本高二八四石余、若干の山高と新田(高槻藩預地)一二石余を加えて(天保八年「郡秘録」三嶋家文書)寛永―正保期(一六二四―四八)の摂津国高帳では二九七石余。


前島村
まえじまむら

[現在地名]尾島町前島

東は堀口ほりぐち村、南西は武蔵島むさしじま村・二ッ小屋ふたつごや村に、北は亀岡かめおか村字本村ほんむらに囲まれた小集落。南をはや川が東流する。中央北部にある曹洞宗前島ぜんとう院は寛永年中(一六二四―四四)田端与三左衛門の開基と伝えられるところから、近世初期の新田村とみられる。寛文郷帳に村名がみえ、幕府領で畑方のみ。慶応三年(一八六七)前橋藩領となる。西方字西久保にしくぼ耕地に接して二ッ小屋村に至る馬踏二間の里道を銅山あかがね街道と称し、当村地先には前島河岸があった。現在南方を流れる利根川本流はかつては二ッ小屋付近で二流に分れ、北側の流路は現在の早川の流路を流れていたらしく、当村は利根川岸に位置していた。


前島村
まえじまむら

[現在地名]長岡市上前島かみまえじま

北西方向には三島さんとう郡に属する青山あおやま・前島・青島あおしまの三ヵ村が指呼のところに連なり、東方に往来道を進めば一キロ余で三国街道(現国道一七号)に出る。天正村名考(温古之栞)に「前川三十一軒」とあるのが当村という。元和四年(一六一八)の長岡藩知行目録に村名がみえ、高一〇三石三斗余。正保国絵図に「前川村」高二八六石余とあるのが当村。元禄郷帳では知行目録と同高。旧高旧領取調帳では上前島村と記し、村高三五五石七斗余は天保郷帳と同高。安政五年(一八五八)の家数六三(長岡の歴史)。当村は三島郡の前島・青島・青山を含む四ヵ村とともに前川まえかわ郷と称してきた。前川の各村にそれぞれ庄屋があって、その上にそれらを統轄する割元庄屋があった。


前島村
まえじまむら

[現在地名]長岡市前島町

信濃川右岸に近い位置にある。三島さんとう郡に属し、南は同郡青島あおしま村、北は同郡青山あおやま村に隣接し、東は古志こし郡の前島村に至る往来路が開ける。前島・上前島・青島・青山の四ヵ村は古来前川まえかわ郷と称している。高梨たかなし(現小千谷市)の大平家蔵の記録によると、文禄元年(一五九二)一二月、上杉家直領の御蔵入となった村に三一八石二斗余の「前之島」があるが、これは当村だけでなく、複数の村高を含むものと思われる。


前島村
まえじまむら

[現在地名]西脇市前島町

うえ村の西に位置する。杉原すぎはら川東岸が村域の大部分を占め、一部分は西岸にある。江戸期の領主の変遷は西田井にしだい村に同じ。正保郷帳によると田方一五三石余・畑方四石余。延宝五年(一六七七)検地帳(前島町有文書)によれば高一五四石余・反別一二町余。小物成は山手銀二〇匁余・川役銀一匁・野藪役銀二分。天保郷帳では高一五三石余。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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