(読み)ソツ

デジタル大辞泉 「卒」の意味・読み・例文・類語

そつ【卒】[漢字項目]

[音]ソツ(漢) シュツ(漢) [訓]おわる おえる
学習漢字]4年
下級兵士。「弱卒従卒兵卒邏卒らそつ
急なさま。にわかに。「卒爾そつじ卒然卒中卒倒倉卒
おわる。おえる。「卒業
卒業のこと。「高卒新卒
身分の高い人が死ぬ。「卒去
俗字「卆」の文字分析から)九十。「卒寿
[補説]5は正しくは「シュツ」と読む。「卆」は俗字。
[名のり]たか
難読卒塔婆そとば何卒なにとぞ

そつ【卒】

下級の兵士。兵卒。「将も一丸となって戦う」
卒業」の略。「大
卒去そっきょ」に同じ。
卒族そつぞく」に同じ。

しゅつ【卒】[漢字項目]

そつ

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精選版 日本国語大辞典 「卒」の意味・読み・例文・類語

そつ【卒】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 下級の兵卒。とくに、武士では軽輩、侍(士)以下の小者。上士に従属して行動し、またその屋敷や身のまわりの世話をする下僕。足軽、中間など。
    1. [初出の実例]「戦に勝て将驕り、卒(ソツ)(をこた)る時は、必破と云へり」(出典:太平記(14C後)一〇)
    2. [その他の文献]〔史記‐朝鮮伝〕
  3. 旧軍隊で、下級の兵士。
    1. [初出の実例]「凡(およそ)軍人には上元帥より下一卒に至るまで、其間に官職の階級ありて」(出典:陸海軍軍人に下し賜はりたる勅諭明治一五年(1882)一月四日)
  4. 明治初年、同心および旧幕府で躑躅(つつじ)の間詰めの取り扱いを受けていたが、譜代(ふだい)の臣と認められない者を改めて呼んだ称。
    1. [初出の実例]「旧来同心の輩は卒と可称事」(出典:太政官布告第一一〇四号‐明治二年(1869)一二月二日)
  5. 明治三年(一八七〇)九月の藩制によって、諸藩の下級士族を区分して設けた族称。卒族
  6. 令制で、四位・五位および諸王の死去のこと。卒去(そっきょ)
    1. [初出の実例]「凡百官身亡者。親王及三位以上称薨。五位以上。及皇親称卒」(出典:令義解(718)喪葬)
  7. 卒業。学校名や卒業年の下に添える。「A大学卒」「昭和六年卒」

しゅつ【卒】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 死ぬこと。
    1. [初出の実例]「一、薨とは 大臣逝去事也。一、卒とは 同前」(出典:沙汰未練書(14C初))
  3. しもべ下男。〔温故知新書(1484)〕

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普及版 字通 「卒」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 8画

[字音] ソツ・シュツ
[字訓] しぬ・おわる・ついに

[説文解字]
[金文]

[字形] 象形
衣の襟(えり)をかさねて、結びとめた形。死者の卒衣をいう。死没するとき、死者の衣の襟もとを重ね合わせて結び、死者の霊が迷い出るのを防ぐのである。〔説文〕八上に「人に隷して事を給するの衣を卒と爲す。卒衣とは題なり」という。受刑者などが服役するときの、法被(はつぴ)のような仕事服と解するものであるが、卒の原義は死卒、死喪のときの儀礼を示すものであるから、終卒また急卒の意に用いる。

[訓義]
1. しぬ、おわる、つきる。
2. ついに、にわか。
3. ・率・悉と通じ、あつまる、ことごとく。

[古辞書の訓]
名義抄〕卒 ヲハル・ウス・ツヒニ・ヤム・シタガフ・シヌ・スデニ・コトゴトク・ニハカニ・イクサ・ツクル・トル/列卒 ノカリコ/赤卒 アカヱムバ 〔字鏡集〕卒 ヲハリ・ヲハル・ハジメ・スデニ・コトゴトク・ツクス・オホシ・シヌ・ヲフ・シタガフ・ウス・ヤム・サス・ニハカニ・ツヒニ・トル・イクサ・タチマチ・ヲス・モロモロ・ナガク・トク(ホ)シ・トシ

[声系]
〔説文〕に卒声として・猝・碎(砕)・悴・(酔)など二十字を収める。は卒の繁文。他には急卒や砕靡の意をもつものが多い。

[語系]
卒・tziutは同声。・悴・瘁dziutは卒の声義を承け、は死・瘁は(しようすい)して病み憂えることをいう。*語彙は率字条参照。

[熟語]
卒騎・卒遽・卒業・卒乎・卒伍・卒更・卒荒・卒哭・卒歳・卒作・卒士・卒史・卒死・卒使・卒爾・卒而・卒爵・卒章・卒乗・卒正・卒然・卒卒・卒中・卒長・卒徒・卒・卒倒・卒読・卒年・卒迫・卒兵・卒崩・卒暴・卒旅・卒隷
[下接語]
鋭卒・騎卒・遽卒・勁卒・軽卒・甲卒・獄卒・士卒・弱卒・戍卒・従卒・将卒・臣卒・匆卒・走卒・草卒・倉卒・卒・徒卒・敗卒・番卒・兵卒・歩卒・僕卒・輸卒・邏卒・吏卒

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「卒」の意味・わかりやすい解説


そつ

明治維新後の一時期,明治政府が旧武士階級の一部に付した身分の呼称華族士族に対し,卒族と呼ばれた。明治2 (1869) 年6月明治政府は版籍奉還とともに,旧公卿諸侯を華族,旧武士階級を士族とし,翌3年9月藩制発布に際し,士族のうち下級武士を区別して卒とした。しかし諸藩においてはこの区別の規準が一定しておらず,不均衡が生じたため,同5年1月卒を廃止し,卒のうち世襲の者を士族に繰入れ,一代限りの卒を平民に編入することとした。同5年当時,士族総数は戸主 25万 8952人,家族 102万 3215人,卒は戸主 13万 6873人,家族 49万 2199人であった。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「卒」の解説


そつ

明治維新後,旧下級武士に与えられた身分呼称。旧幕時代から中間(ちゅうげん)・足軽などは卒とよばれていたが,1869年(明治2)から71年までに藩士以下の者,旧御家人,足軽,中間,朝廷の使丁などが卒と規定された。72年1月卒は廃止され,世襲の卒は士族に,新規一代限りの卒は平民に編入された。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【薨奏】より

…宮中儀礼の一つ。喪葬令(そうそうりよう)によると,親王または三位以上の者の死を〈薨〉といい,五位以上の者は〈卒〉,六位以下庶人は〈死〉と称して区別した。親王および五位以上の者が没すると,治部省から太政官を経て天皇に奏聞する。…

【士族】より

…1869年(明治2)6月の版籍奉還後,公卿や諸侯らが華族と称されたのに対し,藩士は一門以下平士にいたるまですべて士族と称した。このうち微禄の者は同年12月に卒とされ,士族は18等,卒は3等に分けられた。この士族のもとに,農工商は平民と称せられた。…

※「卒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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