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印相 インゾウ

デジタル大辞泉の解説

いん‐ぞう〔‐ザウ〕【印相】

《「いんそう」とも》
仏・菩薩(ぼさつ)が手指で示す印の形。→印(いん)
仏の顔つき。
印章の面に現れた縁起のよしあし。

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世界大百科事典 第2版の解説

いんぞう【印相】

仏・菩薩(ぼさつ)の内証(悟境),本誓(ほんぜい)(誓願),功徳,事業(じごう)(はたらき)などを象徴的にあらわしたもの。契(いんげい),密印,あるいは単に印ともいう。サンスクリットのムドラーmudrāの訳。ムドラーとは本来〈封印〉〈印章〉という意味であるが,特に密教では仏・菩薩の内証・本誓などの真実なること,虚妄(こもう)なきことを証する幖幟(ひようじ)としてこの言葉に深い意味を与えた。印相はふつう手印と〈契印(げいいん)〉とに分けられ,狭義には印のみをすが,広義にはこれらのほか,仏像,種子(しゆうじ),真言までも含めることがある。

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大辞林 第三版の解説

いんそう【印相】

(持ち主の運勢を判断するものとしての)印章の相。
いん(印) 」に同じ。
密教で、僧が印を結ぶこと。いんぞう。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

印相
いんぞう

印契」のページをご覧ください。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

印相
いんぞう

仏教で両手の手指を結んで組み合わせた形、しるし(印章)。密印(みついん)、印契(いんげい)、略して印ともいう。サンスクリット語ではムドラーmudrといい、母陀(捺)羅(もだら)と音写する。「しるし」の意はまれには『大乗義章』巻2にあるようにサンスクリット語でウダーナudna(憂檀那)といい、決定して変わらない形をさす場合もある。しかし通常は仏、菩薩(ぼさつ)の内的な悟りの内容、誓願、功徳(くどく)、事業(じごう)(はたらき)を表象する。密教ではとくに「(ひょうじ)」(形で内容を表現した一種のシンボル)として重視し、広義には三昧耶形(さんまやぎょう)(象徴する物)の一要素をなし、持物(じもつ)をも含む。日本に現存する最古の印相の図は、中国、唐代の『蘇悉地儀軌契印図(そしつじぎきげいいんず)』(国の重要文化財。教王護国寺所蔵)であるという。
 印相の種類は多種多様であるが、『大日経』密印品(みついんぼん)では基本形(印母(いんぼ))は六種拳(ろくしゅけん)と十二合掌(じゅうにがっしょう)の2種である。六種拳は、(1)蓮華(れんげ)拳、(2)金剛(こんごう)拳、(3)外縛(がいばく)拳、(4)内縛(ないばく)拳、(5)忿怒(ふんぬ)拳、(6)如来(にょらい)拳である。また十二合掌は釈尊の降魔(ごうま)、成道(じょうどう)の過程を反映したもので、12種に分類される。(1)堅実心合掌(寧尾拏(にびだ)合掌。五指を伸ばして両手をあわせる)、(2)虚心(こしん)合掌(三補(さんぶた)合掌。(1)と同形。両手のひらの間を少しあける)、(3)未開蓮合掌(屈満羅(くつまら)合掌。両手をあわせて蓮華のつぼみのようにする)、(4)初割蓮(しょかつれん)合掌(僕拏(ぼくだ)合掌。両手をあわせて両方の食指、中指、薬指を少し離して蓮華が開き始めたようにする)、(5)顕露(けんろ)合掌(多那惹(おんたなじゃ)合掌。両手の小指をつけ、両手を並べて仰向(あおむ)けにし、手のひらをあらわに見えるようにする)、(6)持水(じすい)合掌(阿陀羅(あだら)合掌。両手を仰向けて並べ、親指以外の八指を曲げて水をすくい上げるようにする)、(7)帰命(きみょう)合掌(鉢羅拏摩(ぱらだま)合掌。右手を上にして両手の十指を組み合わせる。金剛合掌ともいう)、(8)反叉(はんさ)合掌(微鉢哩(びばりた)合掌。両手を背合わせにして、右手の五指を左手の五指の上に重ねる)、(9)反背互相著(はんはいごそうちゃく)合掌(鉢羅曳薩(びぱらえいさった)合掌。左手を下向けにして伸ばし、その上に右手を仰向けにしてつける)、(10)横(おうちゅうし)合掌(啼哩曳(ていりえい)合掌。両手を仰向け、両方の中指の指頭をつけて互いに支え、指端を上方に向かわせる)、(11)覆手向下(ふくしゅこうげ)合掌(阿駄(あだら)合掌。両手を並べて下向けにし、両方の中指の指頭をつけて互いに支え、指端を下に向かわせる)、(12)覆手合掌(両手を並べて下向けにし、両方の親指の端のみをつけ、各指頭は前方に向ける)。
 また、印を結ぶ両手は日月掌(にちげつしょう)、二羽(にう)と名づけられ、十指は左手を止(し)、定(じょう)、右手を観(かん)、慧(え)などとよぶ。また左手と右手の五指は順に小指から親指まで、色(しき)、受(じゅ)、想(そう)、行(ぎょう)、識(しき)、地、水、火、風、空という。また密教以前のおもな印には施無畏(せむい)印、転法輪(てんぽうりん)印、触地(しょくち)印(降魔印ともいう)、禅定印(ぜんじょういん)(法界(ほうかい)定印)、与願(よがん)印(施願印)があり、これらはすべて釈尊の説法、降魔、成道のシンボル的表現である。このほか浄土教では上品上生(じょうぼんじょうしょう)から下品下生(げぼんげしょう)まで9種の印相(九品印(くほんいん))があり、念仏行者の罪業、修行を9階級に分け、究極には九品往生の表象とする。このうち阿弥陀如来(あみだにょらい)が結ぶ定印を上品上生という。[真鍋俊照]
『真鍋俊照著「蘇悉地儀軌契印図」(奈良国立博物館編『請来美術』所収・1969・角川書店)』

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世界大百科事典内の印相の言及

【阿弥陀】より

…【伊藤 唯真】
[図像]
 阿弥陀如来は浄土教信仰の主尊であり,したがって浄土教美術の中心的尊像である。薬師如来像とは異なり手に持物はないが,さまざまな印相(いんそう)(手の形)で表現され,印相の違いにより与願・施無畏印,転法輪印(説法印),定印,来迎印の像の4種に大別できる。 与願・施無畏印の像は,左手は下げて右手は掌を外に向けて上げる。…

【手】より

…世阿弥は舞の五智として,手智,舞智,相曲智,手体智,舞体智を挙げるが,いずれも手の動きのくふうである(《覚習条々》)。仏像の両手がつくる転法輪印,施無畏(せむい)印,与願印,法界定(ほうかいじよう)印,九品(くほん)印その他の印相や山伏の結印などは仏教や修験道の教義と不可分である。エンゲルスは手の労働が言語とともに脳を発達させてヒトをヒトたらしめたと説く(《猿が人間化するにあたっての労働の役割》)が,手の外科学を体系づけたS.バネルの《手の外科学》も同様に手の人間的意義を強調して次のようにいう。…

【仏像】より

…これら以外の姿勢では,釈迦生誕時の,一方の手を上げ,他方の手を下げたいわゆる誕生仏の立形と釈迦涅槃時の臥形,また釈迦遊行の姿である径行像や阿弥陀如来単独または観音・勢至をともなった三尊での来迎(らいごう)形など,ときに運動を示すものがあり,明王,天部の中には特殊な立勢,坐勢を示すものも少なくない。
[印相]
 両手の示す形状は,それぞれその尊像に特有の内面的な意味を象徴するという考え方のもとに印相(いんぞう)と呼ばれて重視される。仏形での基本的なものは座った脚部の上に両掌を重ね,左右の大指頭を合わせた禅定印で,これは釈迦禅定の際の手の形といわれ,釈迦降魔のときの印である右掌を右膝前に伏せる印,説法時の印,施無畏と与願の印(この二者を併せた形(施無畏・与願印)は古くは諸仏に共通の印でもあった)などがある。…

【曼荼羅】より

…それゆえ観想によって得た仏の像を,壇上や画像に描いたり,あるいは壇上に仏像や三昧耶形(さんまやぎよう)などを配列したりする形像曼荼羅が作られるようになる。
[曼荼羅の発達]
 古代インドにおいては呪句(陀羅尼dhāraṇī)をとなえ,印契(いんげい)(印相(いんぞう)mudrā)で修法を凝らす信仰がよく行われていた。釈迦はこの種の秘法を厳禁したが,大乗仏教はこれらをしだいに取り入れた。…

※「印相」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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