却って(読み)カエッテ

デジタル大辞泉 「却って」の意味・読み・例文・類語

かえっ‐て〔かへつ‐〕【却って/反って】

[副]《「かえりて」の音変化》予想とは反対になるさま。反対に。逆に。「安物を買ったら、―高くついた」
[用法]かえって・むしろ――「病人のほうがかえって(むしろ)しっかりしている」「三月のほうがかえって(むしろ)寒かった」のような場合は相通じて用いられ、比較して強調する意を表す。◇「かえって」は予想していたことと反対の結果の意で、「勧められたら、かえって行く気がしなくなった」「もうけようとして、かえって損をした」のように用いる。これらの場合、「むしろ」には置き換えられない。◇「むしろ」は、どちらかといえば後者となる意を表す。「才能よりもむしろ努力が必要である」「カブトガニカニよりもむしろクモに近い生物だ」
[類語]むしろいっそ反面あべこべ反対逆様さかさまさか裏腹うらはら裏返し裏表うらおもて右左みぎひだり上下うえした後ろ前正反対真逆本末転倒主客転倒

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「却って」の意味・読み・例文・類語

かえっ‐てかへっ‥【却て・反て】

  1. 〘 副詞 〙 ( 副詞「かえりて」の変化した語。促音を表記しない「かえて」の形もある )
  2. かえりて(却━)
    1. [初出の実例]「汝(いまし)忍びずして吾に羞(はぢ)み令(し)めつ。吾還(カエテ)汝に羞み令(し)む」(出典:日本書紀(720)崇神一〇年九月(北野本訓))
    2. 「用あるおりはいろいろ追従などを申。今はかへって悪口などを申まするげな」(出典:狂言記・八句連歌(1660))
  3. かえりて(却━)
    1. [初出の実例]「二人は其の上の失(あやまてる)所を正さずして飜(カヘテ)共に己(おの)が利(くほさ)を求む」(出典:日本書紀(720)大化二年三月(北野本訓))
    2. 「其はかへって不孝にあたるぞ」(出典:史記抄(1477)八)
  4. どちらかといえば。むしろ。
    1. [初出の実例]「足は四足有れども、前足は手と呼ぶ方かへって宜し」(出典:幼学読本(1887)〈西邨貞〉三)

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