双盤(読み)ソウバン

デジタル大辞泉 「双盤」の意味・読み・例文・類語

そう‐ばん〔サウ‐〕【双盤】

寺院法会に打ち鳴らす金属製の盤。
歌舞伎下座音楽に使われる楽器で、大形の当たりがねに似たものを枠にかけ、撞木しゅもくで打つもの。寺院やその付近の場面などに用いる。
建築で、礎盤そばんのこと。

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精選版 日本国語大辞典 「双盤」の意味・読み・例文・類語

そう‐ばんサウ‥【双盤】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 寺院で、法会のときなどに互いにあわせて打ち鳴らす金属の盤。
    1. [初出の実例]「今日亡父忌日之間、僧両人来、本誓寺統全、天王寺正舜等也、茶持参、予双盤候了」(出典:言継卿記‐天文元年(1532)正月一二日)
    2. 「『南無阿彌陀仏』と合掌する。快念そうばんを打懸る」(出典:歌舞伎・韓人漢文手管始(唐人殺し)(1789)四)
  3. 歌舞伎で下座音楽に用いる楽器の名。また、それに大太鼓を伴った鳴物の名。大型の鉦鼓(しょうこ)に似たものを枠にかけ、撞木(しゅもく)で打つ。天台宗の寺院で奏でる音楽にヒントを得て作られたもので、寺院やその付近の描写に用いる。
    1. [初出の実例]「そうばんの身ぶりでばいを廻しかけ」(出典:雑俳・川柳評万句合‐宝暦一三(1763)礼三)
  4. 柱の下、礎石との間にある板あるいは石。禅宗の建築に用いる。礎盤
    1. [初出の実例]「(ソウバン)」(出典:紙上蜃気(1758))

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改訂新版 世界大百科事典 「双盤」の意味・わかりやすい解説

双盤 (そうばん)

日本の仏教音楽や民俗芸能,下座(げざ)音楽で用いられる楽器で,(かね)の一種。体鳴楽器。鋳造製で肉厚の皿状の形をしたもの。直径40~60cmほどあり木製の枠に吊って撞木(しゆもく)で打つ。仏教ではおもに浄土宗で用いられ,とくに雲版,太鼓などとともに奏する揩定(かいじよう念仏(六字詰(ろくじづめ)念仏,歌念仏)は有名である。また民衆の中に広まった静岡県の遠州大念仏などの念仏踊でも用いられる。佐賀県の鉦浮立(かねふりゆう)はいくつかの双盤を中心に,太鼓,笛などの合奏によるもので,双盤を用いた民俗芸能の中でも代表的である。歌舞伎の下座音楽では寺院の場の描写や立回り,花見などの場面で奏される。手に持って奏する小型のものは単に鉦,あるいは当り鉦などといい,民俗芸能や下座音楽で広く用いられ,また3本の脚をつけ下に置いて奏する伏鉦(ふせがね)(叩鉦たたきがね),伏鉦鈷(ふせじようこ))は念仏の際に用いる。双盤,当り鉦,伏鉦はいずれも多くの場合,念仏に関連して用いられることが特徴的である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「双盤」の意味・わかりやすい解説

双盤
そうばん

大型の真鍮(しんちゅう)製の鉦(かね)。本来、二台一組で用いたため双の名がある。直径約50センチメートル程度で、形状は当り鉦と同じ。木枠に吊(つ)るし、丁字型の撞木(しゅもく)、1本ないし2本で外側をたたく。現在では浄土系仏教、民俗芸能、歌舞伎(かぶき)の下座音楽で用いられている。仏教では六字詰念仏のような念仏や和讃(わさん)の伴奏に使われる。民俗芸能では念仏踊など風流(ふりゅう)系の芸能に多く用いられ、佐賀県や長崎県の浮立(ふりゅう)、静岡県の遠州大念仏などが有名である。歌舞伎では寺院関係の情景描写に用い、打楽器だけの演奏のほかに唄(うた)や三味線を加え、幕開き、幕切れ、人物の出入りに使用する。

[柴田典子]

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