古筆切(読み)こひつぎれ

精選版 日本国語大辞典「古筆切」の解説

こひつ‐ぎれ【古筆切】

〘名〙 古筆②の断片平安時代から鎌倉時代にかけての歌集、物語、経巻などを、数行または一葉に切断したもの。茶道流行に伴い、これを掛軸などにしたてて茶席などにおける装飾用、鑑賞用としたり、各種の古筆切を張りこんだ手鑑(てかがみ)、すなわち古筆手鑑を作ったりすることが盛んに行なわれた。このためにあらたに寸断して古筆切にされ、散逸した古筆も多い。保管場によって「高野切」「本能寺切」、所蔵者によって「本阿彌切」「関戸古今集」「寸松庵色紙」、原本の形によって「升色紙」「豆色紙」「継色紙」、料紙によって「綾地切」「絹地切」などという呼び方がなされている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「古筆切」の解説

古筆切
こひつぎれ

巻子本冊子本など完全な形で伝来した古筆 (奈良~室町時代のすぐれた書。特に和様の書や,かな書きのもの) を,掛軸仕立てにしたり,手鑑に張ったりする目的で切断したもの。桃山時代から江戸時代にかけ茶道の流行に伴い古筆が愛好され,需要が多かった。切断された断簡は内容,地名,所蔵者名にちなんで「万葉切」「高野切」「本阿弥切」などと称した。

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旺文社日本史事典 三訂版「古筆切」の解説

古筆切
こひつぎれ

平安・鎌倉時代の和様書道の有名な筆跡の断片
近世初期,茶道の流行につれて鑑賞用として古筆が愛好されたため,歌書・経典などの巻子や冊子などのもとの形を断片に切り掛幅装として鑑賞した。高野切・本能寺切・本阿弥切などが有名。

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世界大百科事典内の古筆切の言及

【仮名】より

…草の手もしだいに単純化し,漢字の字形から離れた独自の形態をとる方向へ進む。10世紀以降の仮名の作品は,書写当時の巻子や冊子の原形のまま伝存するものは少なく,多くは寸断されて鑑賞用に手鑑(てかがみ)や掛幅装となり,〈古筆切(こひつぎれ)〉となって伝えられている(古筆)。それらの中で草の手の遺品は少なく,伝紀貫之筆の《自家集切》,伝小野道風筆の《秋萩帖》,伝藤原佐理筆の《綾地切(あやじぎれ)》などがあるが,これらはすでに女手や平仮名をも混じえた流麗な運筆である。…

【古筆】より

…〈古筆〉という語は古人への追懐と,その芸術性に対する尊敬の念をこめ鎌倉時代末ころから用いられていたが,室町時代に公家を中心に古典に対する関心が深まり,また戦乱などによって都にある多くの書画が失われると,昔の筆跡への関心が高まり,巻物の一部でも切り取って収集し手鑑などにはり込んで鑑賞することが盛んになった。こういった断簡のことを古筆切(こひつぎれ)という。さらに桃山時代ごろからの茶の湯の流行につれ,古筆切を軸に改装し,床にかけて鑑賞することが盛んになった。…

※「古筆切」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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