吉田半兵衛(読み)よしだはんべえ

精選版 日本国語大辞典 「吉田半兵衛」の意味・読み・例文・類語

よしだ‐はんべえ【吉田半兵衛】

  1. 江戸中期画家浮世草子作者。京都の人。仮名草子・浮世草子などの挿絵を描く一方好色本著作もある。画業に西鶴作「好色五人女」「好色一代女」などの挿絵、著に「好色訓蒙図彙」「好色貝合」など。生没年未詳。

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改訂新版 世界大百科事典 「吉田半兵衛」の意味・わかりやすい解説

吉田半兵衛 (よしだはんべえ)

江戸初期の浮世絵師。名は定吉。生没年,経歴は明らかでないが,貞享年間(1684-88)から元禄年間(1688-1704)前半を中心上方で浮世草子などの挿絵に筆を揮った。《寛闊(かんかつ)平家物語》(1710)は江戸の菱川師宣と上方の半兵衛浮世絵師の双璧と評価している。上方の浮世絵の揺籃期に活躍し,西川祐信(すけのぶ)先駆となった点が着目される。《好色訓蒙図彙(こうしよくきんもうずい)》(1686)など延宝(1673-81)から宝永年間(1704-11)初期にかけて挿絵の遺作がみられる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「吉田半兵衛」の意味・わかりやすい解説

吉田半兵衛
よしだはんべえ

生没年不詳。江戸中期の上方(かみがた)の浮世絵師。京都の人で、上方版の大衆向け出版物に挿絵を描き、貞享(じょうきょう)から宝永(ほうえい)(1684~1711)のころに活躍した。ことに井原西鶴(さいかく)との共作が注目され、その浮世草子の名作『好色五人女』『好色一代女』(ともに1686)や『日本永代蔵(にっぽんえいたいぐら)』(1688)などに生彩に富む風俗描写を提供した。ほかに『好色訓蒙図彙(きんもうずい)』(1686)、『女用(おんなよう)訓蒙図彙』(1687)などの木版絵本もある。

[小林 忠]


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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「吉田半兵衛」の解説

吉田半兵衛 よしだ-はんべえ

?-? 江戸時代前期-中期の浮世絵師。
京都の人。貞享(じょうきょう)-宝永(1684-1711)のころに上方(かみがた)で浮世草子などに挿絵をえがいた。「好色訓蒙図彙(きんもうずい)」や井原西鶴(さいかく)の「好色五人女」などの挿絵がとくに注目される。江戸の菱川師宣(ひしかわ-もろのぶ)とならび称された。名は定吉。

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朝日日本歴史人物事典 「吉田半兵衛」の解説

吉田半兵衛

生年:生没年不詳
浮世絵草創期の京都の絵師。貞享年間(1684~88)を中心に活躍した。絵師庄五郎の流れを学んだと伝える。浮世草子をはじめとして,節用類・仮名草子・浄瑠璃本・名所記など,多数の挿絵に筆をとったと推定されるが,在名本は少ない。

(浅野秀剛)

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