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吉野拾遺 よしのしゅうい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

吉野拾遺
よしのしゅうい

室町時代の説話集。作者未詳。2巻 (4巻の増補本もある) 。作者については,奥書にある松翁を藤原吉房,兼好の弟子命松丸,足利尊氏の侍童命鶴丸などとする諸説がある。正平 13=延文3 (1358) 年頃成ると奥書にあるが疑わしく,室町時代に『神皇正統記』『太平記』などを材料として偽作したものかという。後醍醐,後村上両帝時代の南朝君臣の逸話などを集めたもの。

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デジタル大辞泉の解説

よしのしゅうい〔よしのシフヰ〕【吉野拾遺】

室町時代の説話集。2巻または3巻。作者・成立年ともに未詳。延元元年=建武3年(1336)から正平13年=延文3年(1358)に至る23年間の、南朝関係の人物の逸話を集めたもの。

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百科事典マイペディアの解説

吉野拾遺【よしのしゅうい】

南北朝時代の説話集。2巻または4巻。奥書にある作者松翁は未詳の人物,また1358年成立とあるのも疑問。あるいは室町時代の偽作かとも。後醍醐・後村上両天皇時代の南朝の人びとの逸話を記したもので,歌話,恋愛譚,怪異談,遁世談,霊験談などが集められている。

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世界大百科事典 第2版の解説

よしのしゅうい【吉野拾遺】

南北朝期の説話集。奥書に〈正平つちのえいぬのとしのはる〉(1358∥正平13),〈隠士松翁〉とあるが,成立,作者ともに未詳。伝本に2巻本と4巻本(3冊と4冊,1687刊,内題《芳野拾遺物語》)がある。4巻本の立てた章段,目録では,2巻本は35話であり,4巻本は後代追補とみられる29話が加わり,計64話である。2巻本は南北朝後期,追補部は1552年(天文21)までに成立したとみられ,後醍醐天皇の吉野遷幸から当代後村上天皇時代にかけて,作者が見聞し体験した逸事が集められている。

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大辞林 第三版の解説

よしのしゅうい【吉野拾遺】

説話集。二巻。藤原吉房編と伝えるが未詳。1358年成立か。1336年の吉野遷幸から58年頃までの南朝側の事蹟を思い出として記す。三巻本・四巻本は後人の増補によるものか。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

吉野拾遺
よしのしゅうい

南朝関係説話を集めた中世後期の説話集。跋(ばつ)文には「正平(しょうへい)つちのえいぬのとし」(1358)、「松翁」なる者が著した旨を記す。この松翁については、侍従忠房(ただふさ)説、吉田兼好の弟子命松丸(めいしょうまる)説など諸説があるが、いずれも確証はない。この跋文自体を虚構とみる説も有力である。作者はただ、南朝びいきの教養ある隠士で、兼好の影響下にある人物とのみ推定される。成立年も確定できないが、室町時代の説話集『塵塚(ちりづか)物語』との関係から、1552年(天文21)以前であることは確かである。諸本には、35話を収める二巻本のほか後人がこれに29話を増補して成立したと考えられる三巻本、および四巻本(内容は三巻本に同じ)がある。内容は、巻頭に後醍醐(ごだいご)帝関係の和歌説話を配し、以下、神仏霊験説話、遁世(とんせい)説話、怪異説話、武勇説話、悲恋説話、誹諧(はいかい)説話など多岐にわたる。これらには『太平記』『神皇正統記(じんのうしょうとうき)』『徒然草』などをふまえつつ、『撰集抄(せんじゅうしょう)』などにみられるのと同様な、創作説話的方法で形成されたとみられるものがあり、注目される。[木下資一]
『『説話文学必携』(1976・東京美術)』

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