咸陽宮(読み)カンヨウキュウ

デジタル大辞泉 「咸陽宮」の意味・読み・例文・類語

かんようきゅう【咸陽宮】[謡曲]

謡曲四番目物金春こんぱる以外の各流。えん荊軻けいか秦舞陽しんぶようは秦の始皇帝の命をねらうが、花陽夫人の琴に聴きほれているうちに討ち取られる。

かんよう‐きゅう〔カンヤウ‐〕【咸陽宮】

戦国時代に秦の孝公咸陽に建てた壮大な宮殿。のち、始皇帝が住んだ。
[補説]曲名別項。→咸陽宮

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精選版 日本国語大辞典 「咸陽宮」の意味・読み・例文・類語

かんよう‐きゅう カンヤウ‥【咸陽宮】

[一] 中国、秦の始皇帝が首都咸陽に建設した壮大な宮殿。→咸陽
[二] 謡曲。四番目物。観世宝生金剛喜多流。作者未詳。燕の荊軻、奏舞陽の二人は、秦の始皇帝に謁するや、これを刺そうとする。帝は末期に寵姫花陽夫人の琴を望み、二人が夫人の曲に聞き惚れているのに乗じて討ち取る。かんにょうきゅう。

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改訂新版 世界大百科事典 「咸陽宮」の意味・わかりやすい解説

咸陽宮 (かんにょうきゅう)

(1)平曲の曲名。平物(ひらもの)。拾イ物。燕の太子の丹が秦に捕らえられたとき,本国老母にひと目会いたいと願ったところ,秦の始皇帝は,馬に角が生え烏の頭が白くなったら許そうとあざけった。ところが忠孝を重んずる神仙や聖人に丹の孝心が通じ,角のある馬と白い首の烏が宮廷に来た(〈三重(さんじゆう)〉)。そこで丹は国へ帰されたが,秦を恨み荆軻(けいか)を大臣として再起を図る。始皇帝が亡命者樊於期(はんよき)の首に懸賞金を掛けていることを知った荆軻は,秦舞陽と2人で秦の都におもむく。都の咸陽宮は,地上3里の高さに金銀で飾り立てた壮大な皇居である(〈拾イ〉)。2人は樊於期の首と燕の国土の地域図を始皇帝に捧げ,すばやくその袖をとらえて剣をさし付ける(〈拾イ〉)。始皇帝は后の花陽夫人(かようぶにん)の琴を聞いて死にたいという。夫人は琴の歌詞に託して帝に脱出を勧める(〈三重〉)。帝は袖を引き切って逃れ,逆に2人を討ち取り(〈拾イ〉),ついに燕を滅ぼした。三重,拾イが聞きどころ。

(2)能の曲名。四番目物。作者不明。シテは始皇帝。壮麗な咸陽宮の叙景のあと,荆軻(ワキ),秦舞陽(ワキヅレ)の登場となり,以下平曲のとおりに筋が運ばれる。花陽夫人(ツレ)が琴歌を歌う〈琴ノ段〉が聞きどころ。
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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「咸陽宮」の解説

咸陽宮
かんようぐう

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
初演
明治26.9(東京・歌舞伎座)

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