中国、散文における唐代・宋代のもっとも優れた作家8人の総称。唐の韓愈(かんゆ)・柳宗元(りゅうそうげん)、宋の欧陽修(おうようしゅう)・蘇洵(そじゅん)・蘇軾(そしょく)・蘇轍(そてつ)・曽鞏(そうきょう)・王安石(おうあんせき)をさす。中国の散文は、後漢(ごかん)から南北朝を経て唐の前期までは、対句を中心として構成される駢文(べんぶん)が普通行われたが、韓愈が対句など形式の拘束から自由なスタイルの「古文」を唱え、柳宗元らがそれに賛成して、駢文(べんぶん)と並用される文体となった。宋の欧陽修はいっそう古文を推し広めて、以後、散文の主流を占め、その模範となる作家として選ばれたのが、この八大家である。南宋ごろから韓・柳・欧陽・蘇軾の評価は揺るぎなかったが、明(みん)初ごろからこの8人に定まり、明代後期、茅坤(ぼうこん)が『唐宋八大家文鈔(しょう)』164巻を選んで、非常に流行した。清(しん)の沈徳潜(しんとくせん)はこれを精選して批評を加えた『唐宋八家文読本』30巻を編し、和刻本が何種類も出版されるほど、わが国で流布した。
[清水 茂]
『清水茂著『新訂中国古典選19・20 唐宋八家文』上下(1966・朝日新聞社)』
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唐の韓愈(かんゆ),柳宗元,宋の欧陽脩(おうようしゅう),蘇洵(そじゅん),蘇軾(そしょく),蘇轍(そてつ),曾鞏(そうきょう),王安石の8人の大文章家をいう。韓愈以来の古文復興がここに確立し,後世特に明以降の文章の範となった。
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…蘇軾の門人黄庭堅も尺牘(せきとく)と題跋(だいばつ)などの小品に巧みであった。唐の韓愈,柳宗元に蘇軾およびその父蘇洵(そじゆん)と弟蘇轍(そてつ)および王安石,曾鞏,欧陽修を加えて唐宋八大家という。このほか司馬光の《資治通鑑(しじつがん)》は編年体歴史の傑作であるが,文体は欧陽修に似て流暢であり,文学としても鑑賞にたえる。…
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