〈もんじょう〉ともいう。日本の古文書の一様式。中世の訴訟制度において裁判機関が当事者や証人を勘問する際発給した文書。とくに訴状受理の後,それに対する陳状の提出を論人(被告)に命ずるために,裁判機関より発給された問状がよく知られている。綸旨(りんじ),御教書(みぎようしよ)(この場合,問状綸旨,問状御教書と称す),担当官人(引付頭人(ひきつけとうにん)や奉行など)の奉書,またより丁重な場合は書状の形式がとられた。某が該案件を訴え出たのでその訴状を送付するから陳弁せよというのがそのおもな内容で,末尾に〈早可令弁申〉〈不日可被明申〉などの陳弁催促の文言を有するのが特徴である。中世には訴訟の当事者主義の原則により,問状の論人への交付は訴人自身が行ったが,その際しばしば〈問状の御教書を帯び狼藉をいたす〉(《御成敗式目》51条)という事態が発生した。これは訴訟の受理自体が,ある程度訴えの蓋然性の認定を意味していたためでもあり,また相論の自力救済を目ざす訴論人にとっては,問状の獲得のみで勝訴を強弁せんとする法意識が一般であったためでもある。
執筆者:保立 道久
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…中世の訴訟制度において裁判機関が当事者や証人を勘問する際発給した文書。とくに訴状受理の後,それに対する陳状の提出を論人(被告)に命ずるために,裁判機関より発給された問状がよく知られている。綸旨(りんじ),御教書(みぎようしよ)(この場合,問状綸旨,問状御教書と称す),担当官人(引付頭人(ひきつけとうにん)や奉行など)の奉書,またより丁重な場合は書状の形式がとられた。…
※「問状」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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