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営造物 えいぞうぶつ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

営造物
えいぞうぶつ

法律では行政主体によって特定の公の目的に供用される建設物,物的設備 (国家賠償法2) ,行政主体により特定の行政目的に継続的に供用される人的,物的施設の総合体 (地方財政法 23) ,行政主体により継続的に公衆の使用に供される人的,物的施設の総合体 (1963年改正前地方自治法 209以下) をさして使う。地方自治法は,地方公共団体が,住民の福祉を増進する目的でその利用に供する施設を公の施設と呼ぶ (244条以下) 。 (1) 営造物利用規則 国立や公立の大学,病院などの営造物に関して営造物管理者が定める規則のうち,利用関係を規律するものをいう。国民一般を拘束するものではなく,営造物管理者と利用者との特定の社会関係を規律するものであるので,特に法律に根拠がなくとも,法律に違反しない範囲内で,管理者は利用規則を制定できるとされている。ただし,規則が国民に対する権力的作用や使用強制を定めたり,独占を認める場合などには,国民の自由,権利を侵害することになるので,法律の根拠を要する。 (2) 営造物法人 国または地方公共団体によって,一定の行政目的の継続的な遂行に向けられた人的,物的施設の総合体で法人格を有するもの。公の財団法人ともいう。必ずしも営利的なもの,収支を伴う事業に限らず,精神的文化に関する事業や一般の利用に提供される施設をさす意味にも用いられる。国や地方公共団体とは別個の人格で自主性をもって行政目的を遂行する。法律の根拠がある公社公団公庫,港務局 (港湾法4以下) など。

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デジタル大辞泉の解説

えいぞう‐ぶつ〔エイザウ‐〕【営造物】

建造物。特に、国または公共団体により、公共の使用のために設置される施設。学校・図書館道路公園など。

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百科事典マイペディアの解説

営造物【えいぞうぶつ】

〈公の営造物〉ともいい,国または公共団体が一定の目的を達するために供される人的・物的施設の総合体(国立公立の学校・病院・鉄道・刑務所など)の意味に用いられる。しかし法令上,物的施設だけ(道路・河川など)をいうこともある。
→関連項目公共団体

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世界大百科事典 第2版の解説

えいぞうぶつ【営造物】

〈公の営造物〉ともいう。営造物の観念はドイツ語のAnstaltの訳語として用いられるようになったようであり,法律中においてもこの観念が用いられている場合がある(国家賠償法2,3条,地方財政法23条,1963年改正前の地方自治法209条以下等)。しかし,その意味は一定していない。国や地方公共団体により公の目的のために供用される物的施設を指すものとして,この観念が用いられる場合があるが(例,国家賠償法2条),この意味においてであれば,それは,公物の観念と異なるところはない。

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大辞林 第三版の解説

えいぞうぶつ【営造物】

建築物。
〘法〙 国または公共団体により公の目的のために用いられる人的・物的施設の全体。学校・病院・通信施設・道路・鉄道など。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

営造物
えいぞうぶつ

行政法学上の概念で、行政主体が特定の公の目的に継続的に供用する人的および物的施設の総合体をいう。住民の直接利用に供される公共用営造物(民営化前の郵便、公立学校、公立図書館、公立博物館、公立病院、上下水道、民営化前の道路公団、民営化前の電信・電話、鉄道など)と、もっぱら行政主体の用に供される公用営造物(官公署、研究所、刑務所、天文台、試験場など)がある。「営造物」の語は、学問上も実定法上も用法が不統一で、このほかにも、国または公共団体等の行政主体が特定の公の目的に供用する物的施設、たとえば道路、河川をさす用法(国家賠償法2条、3条)、行政主体が継続的に一般公衆の使用に供用する人的手段および物的手段をさす用法(地方自治法244条にいう公の施設)がある。営造物のかわりに公企業の観念が用いられることもある。
 また、民営化の進展により、営造物とされた組織が民間会社に移行する傾向にある(道路公団、郵便事業など)。[阿部泰隆]

営造物の種類

営造物には、(1)法人格を有する独立営造物(たとえば独立行政法人や法人化された国公立大学など)と、法人格を有しない非独立営造物(公立学校、公立博物館など)、(2)国が管理する官営営造物(民営化前の郵便、独立行政法人化前の国立の学校・病院など)と、地方公共団体が管理する公営営造物(小・中・高校、市場、市町村・都道府県道)および地方公共団体の経済的負担において国の管理する官営公費営造物(国道、河川の一部)、(3)国が経営につき独占権を有する独占営造物(民営化前の郵便など)と、そうでない非独占営造物、という区別がある。
 営造物の利用関係は、法令のほか、告示、訓令、業務方法書など行政内部で制定する法規範により定められている。営造物管理者には、利用者に対する命令、懲戒権が認められることがある。特別の規定がない限りは私法規定の適用があると解されるのが普通である。[阿部泰隆]

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