(読み)ショウ

デジタル大辞泉 「嘯」の意味・読み・例文・類語

しょう【嘯】[漢字項目]

[音]ショウ(セウ)(呉)(漢) [訓]うそぶく
口をすぼめて声を出す。うそぶく。「嘯風吟嘯長嘯
ほえる。うなる。「海嘯虎嘯こしょう

うそ‐ふき【×嘯】

狂言面の一。口笛を吹くように、口をとがらした形の面。蚊・タコキノコなどの精、案山子かかしなどに用いる。里神楽ひょっとこ面の原形

うそ【×嘯】

口をすぼめて息を強く出すこと。また、口笛。うそぶき。
「貝をも持たぬ山伏が―を吹かうよ」〈虎明狂・柿山伏

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「嘯」の意味・読み・例文・類語

うそ‐ふき【嘯】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 狂言面の一つ。狂言や里神楽などに用いる、うそぶいて口をとがらした形の仮面。蚊、蝉の精や、かかし、石神などに用いる。ひょっとこ面。
    1. うそふき<b>①</b>
      うそふき
    2. [初出の実例]「うそふきの面を着せなし」(出典:虎明本狂言・瓜盗人(室町末‐近世初))
  3. うそぶき(嘯)

うそ‐ぶき【嘯】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「うそぶく(嘯)」の連用形名詞化 ) うそぶくこと。口笛などを吹くこと。
    1. [初出の実例]「登が嘯(うそ)を吹た声、うそ吹の上手なり」(出典:玉塵抄(1563)三一)

うそ【嘯】

  1. 〘 名詞 〙 口をすぼめて息を強く吐き出すこと。また、その音。うそぶき。うそむき。口笛。皮笛
    1. [初出の実例]「こぜんじの紙、まきあげの筆と、うそに吹きいだしたるを」(出典:たまきはる(1219))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「嘯」の読み・字形・画数・意味


15画

(異体字)
16画

[字音] ショウ(セウ)
[字訓] うそぶく

[説文解字]

[字形] 形声
声符は肅(粛)(しゆく)。肅に・簫(しよう)の声がある。〔説文〕二上に「吹く聲なり」とあり、肅はその音を写したものであろう。籀文(ちゆうぶん)にに作り、欠(けん)部にまたその字がみえる。〔詩、召南、江有〕に「其の嘯(な)くや歌はん」とあり、嘆くときのしぐさである。古くは呪詛的な意味があったかと思われる。六朝のころ長嘯を好む人が多く、嘯逸・嘯傲のような語がある。

[訓義]
1. うそぶく、口をすぼめて声を出す。
2. 長く声をひいてなく、なく。
3. 口笛をふく。
4. と通じ、しかる。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕嘯 字同じ。宇曾牟久(うそむく)〔名義抄〕嘯 ウソム・ウソフク 〔字鏡集〕嘯 ウソム・フク・ウソフク

[語系]
嘯・簫syは同声。口をすぼめて発するを嘯()といい、竹管を以てするを簫という。肅siu、syuもその系統の語で、みな瑟の意がある。

[熟語]
嘯哀・嘯逸・嘯雲・嘯詠嘯歌嘯吟嘯月・嘯呼・嘯合・嘯傲嘯指・嘯嘯聚・嘯・嘯・嘯風嘯葉
[下接語]
永嘯・猿嘯・歌嘯・海嘯・叫嘯・嘯・吟嘯・月嘯・呼嘯・虎嘯・高嘯・坐嘯・舒嘯・唱嘯・清嘯・静嘯・長嘯・悲嘯・諷嘯・夜嘯・野嘯・朗嘯

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

部分連合

与野党が協議して、政策ごとに野党が特定の法案成立などで協力すること。パーシャル連合。[補説]閣僚は出さないが与党としてふるまう閣外協力より、与党への協力度は低い。...

部分連合の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android