案山子(読み)かかし

  • あんざんし
  • かがせ
  • そおず
  • そおず そほづ
  • そおず〔そほづ〕
  • そおど
  • そおど そほど
  • そおど〔そほど〕
  • そほど
  • 案=山=子
  • 案=山=子/鹿=驚

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

作物する鳥獣を追払う装置や設備。音や光でおどすもの,臭いで退散させるもの,人形を立てるものなどがある。音や光でおどすものには,水車鳴子を使ったり,空缶をたたいたり,空砲を撃つなどして大きな音をたてたり,ひらひらするや,きらきら光る金属片などで幻惑させたり,鳥の死骸をぶら下げておどすものなどがある。臭いによるものは,髪の毛,油をしみこませた布,魚の頭,肉などを焼き焦がし,その悪臭で鳥獣を近づけまいとする方法で,本来カカシの語も,嗅がしのじたものといわれる。人の形に似せたものは,人と見まちがわせようとするものであるが,これは田の神の依座でもある。長い期間にわたって田畑見守り収穫が終れば用がなくなるところから,カカシ上げ,カカシ祭などといって,田から家に迎え入れ,庭で供物をあげて祀る行事が行われる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル大辞泉の解説

《「かがし」とも》
竹やわらで作った人形。蓑(みの)や笠をつけて田畑に立て、人に見せかけて鳥などが作物を荒らすのを防ぐ。もと、鳥獣がその臭気を嫌って近づかぬよう、獣肉や毛髪などを焼いて竹などに付け立てたもの。「かがせるもの」の意で、「かがし(かがせ)」といったところからいう。おどし。かがせ。 秋》「倒れたる―の顔の上に天/三鬼
地位・外見ばかりよくて、それ相応の能力のない者。見かけ倒し。
「私は―で来たので、向うの申出を信じて従う他はなかったのであります」〈滝井無限抱擁
そおど」の音変化。
「あしひきの山田の―おのれさへ我をほしてふうれはしきこと」〈古今・雑体〉
かかし。そおず。
「久延毘古(くえびこ)は、今に山田の―といふぞ」〈・上〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

百科事典マイペディアの解説

農作物を鳥獣の害から防ぐため田畑に立てるもの。〈かかし〉が一般的な呼称であるが,長野岐阜,愛知では〈ソメ〉,徳島種子島では〈シメ〉,北陸,近畿,中国,四国,九州の一部では〈オドシ〉ともいう。毛髪,魚の頭,焼いた獣肉や鳥など悪臭を放つもの(かかしの語源は〈嗅(か)がし〉説が有力),鳴子(なるこ),空缶など物音をたてるもの,札や護符などを竹の先にはさみその威力で作物を守ろうとするものなどがある。みの笠姿のかかし人形は田の神の依代(よりしろ)と考えられ,長野県では収穫後これを焼いてまつる。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

とっさの日本語便利帳の解説

田畑が鳥獣に荒らされるのを防ぐために麦藁などで作って田畑に置いた人形。もとは、獣の肉を焼いてに刺したり毛髪やぼろ布を焼いて竹に下げ、鳥獣の嫌う臭いを出し、それを田畑に置いたため、嫌な臭いをかがせる味の「嗅がし」が語源。

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

世界大百科事典 第2版の解説

農作に害を及ぼす鳥獣を排除する目的で田畑に設ける装置。人形や神札などによるもの,においや音・色などによるものなどがある。かかしに案山子の字をあてる由来は明らかでない。かかしは〈鹿驚(かがせ)〉の意から出たともいわれるが,一般には悪臭を発して鳥獣を追う〈嗅(か)がし〉が語源とされている。現在ではかかしの語が一般的であるが,これをソメという地方が長野や岐阜,愛知に分布し,徳島や種子島ではこれをシメという。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

かかし。
そおどの転
かかし。 あしひきの山田の-/古今 雑体
かかし。そおず。 少名毘古那の神を顕はし白もうせし謂はゆる久延毘古は、いまに山田の-といふぞ/古事記

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 田畑に立てて、鳥獣をおどし、その害を防ぐ人形。→案山子(かかし)
※俳諧・随斎諧話(1819)乾「案山子の文字は伝灯録〈略〉の語あり。注に曰、民俗刈草作人形山田之上禽獣、名曰案山子」 〔景徳伝燈録‐一七・道膺禅師〕
〘名〙 「かかし(案山子)」の変化した語。
※狂言記・瓜盗人(1700)「今夜は、某(それがし)がかがせに成ってとらよう」
〘名〙 (「そおど(案山子)」の変化した語) 田畑を荒らす鳥獣を追うために田畑に置く人形。かかし。くえびこ。そおど。
※古今(905‐914)雑体・一〇二七「あしひきの山田のそほづおのれさへ我をほしといふうれはしきこと〈よみ人しらず〉」
※古事記(712)上「其少名毘古那神を顕はし白せし謂はゆる久延毘古は、今者に山田の曾富騰(ソホド)といふぞ。此の神は、足は行かねども、尽(ことごと)に天の下の事を知れる神なり」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典内の案山子の言及

【久延毘古】より

…《古事記》にみえる神の名。〈クエ〉は〈崩(く)ゆ〉の連体形で身体の崩れた男を指すと思われ,また案山子(かかし)のことである。大国主(おおくにぬし)神が出雲の御大(みほ)(美保)の岬にいたとき,海上から羅摩(かがみ)の船(ガガイモの船)に乗り,鵝(ひむし)の皮(蛾の皮)の衣服を着た神が近づいた。…

【少彦名命】より

…《古事記》によれば,大国主神が出雲の御大之御前(みほのみさき)にいたとき,波のかなたより天之羅摩船(あめのかがみのふね)(ガガイモのさやでできた船)に乗り,蛾の皮を衣服として漂着した神があった。名を問えども答えず,まただれもその素姓を知らなかったが,ヒキガエルと久延毘古(くえびこ)(山田の案山子(かかし))によって,神産巣日(かむむすひ)神(神皇産霊尊)の子スクナビコナであることが知れた。カムムスヒは,わが子のうちで〈手俣(たなまた)より漏(く)きし子ぞ〉(指のあいだから落ちた子だ)といい,オオナムチと兄弟になってその国を作り固めよと命ずる。…

※「案山子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

今日のキーワード

ビットコイン

インターネット上で使用できる仮想通貨の一つ。日本円のような法定通貨とは異なり、通貨としての機能を持つ電子データであり、1ビットコインは、1BTCという単位で表記される。仮想通貨と似たものに、オンライン...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

案山子の関連情報