団藤重光(読み)ダンドウシゲミツ

デジタル大辞泉 「団藤重光」の意味・読み・例文・類語

だんどう‐しげみつ【団藤重光】

[1913~2012]法学者。山口の生まれ。刑事訴訟法策定関与するなど、刑事法学の専門家として活躍昭和49年(1974)最高裁判所判事に就任。判事退官後は死刑廃止運動に尽力した。平成7年(1995)文化勲章受章。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「団藤重光」の意味・わかりやすい解説

団藤重光
だんどうしげみつ

[生]1913.11.8. 山口
[没]2012.6.25. 東京,文京
法学者。刑事法学の第一人者。1935年東京帝国大学法学部卒業。1937年同大学助教授,1947年教授に就任。1974年に東京大学を定年退官後,最高裁判所判事に就任,1983年定年退官。1934年の『刑事訴訟行為の無効』以来,訴訟理論の分野で研究を深め,第2次世界大戦後『訴訟状態と訴訟行為』(1949)を著す。一方,司法省嘱託として新刑事訴訟法(→刑事訴訟法)の制定に尽力,同法が制定されると『新刑事訴訟法綱要』(1948)としてまとめた。1949年日本刑法学会の創設参画し理事,1963~75年理事長を務めた。また法務省の刑法改正準備会,法制審議会などの委員となり,改正刑法草案立案に深くかかわった。リベラル派として知られ,最高裁判事として判決にかかわった白鳥事件では再審への門戸を開く。さらに数多くの少数意見を展開し,司法史に大きな足跡を印した。死刑廃止運動にも取り組み,『死刑廃止論』(1991)を著した。1989~2000年宮内庁参与を務めた。著書に,『刑法と刑事訴訟法との交錯』(1950),『刑法綱要』(総論,1957,各論,1964),『注釈刑法』(全6巻,1964~69),『法学の基礎』(1996)など多数。1986年文化功労者に選ばれ,1995年文化勲章を受章した。

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百科事典マイペディア 「団藤重光」の意味・わかりやすい解説

団藤重光【だんどうしげみつ】

法学者,最高裁判事。専門は刑事法全般。山口県吉敷郡生まれ。父は検事・弁護士。少年時代を父の郷里に近い岡山市で過ごす。第六高等学校をへて1935年東京帝国大学法学部卒業(首席),1937年助教授,1947年東京大学法学部教授。日本刑事法学の第一人者で,戦後の刑法学の基礎を築いた。戦後の新憲法制定にともなう法制改革に30代で関与し各種の立法に参画,とくに刑法の根幹をなす刑事訴訟法(1948年制定)の立案者である。1974年東京大学名誉教授。最高裁判所判事(1974年―1983年),東宮職参与,宮内庁参与を歴任。死刑廃止運動,少年法改正反対運動にも関与,事件被害者の親族のケアに配慮しつつ,刑事被告人の人権確立の活動を続けた。晩年,カトリックの洗礼を受けた。主著に《刑法綱要総論》(1957年,創文社),《刑法綱要各論》(1964年,創文社)。文化功労者(1986年),文化勲章受章(1991年)。
→関連項目藤林益三

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「団藤重光」の意味・わかりやすい解説

団藤重光
だんどうしげみつ
(1913―2012)

刑事法学者。山口県生まれ。1935年(昭和10)東京帝国大学法学部を卒業し、同助教授を経て、1947年同法学部教授、のち同名誉教授。1937年『刑事訴訟行為の無効』で訴訟理論に画期的な業績を示し、戦後には司法省(現、法務省)嘱託となり新刑事訴訟法立案の中心的役割を果たした。同法の制定後、1948年『新刑事訴訟法綱要』、1950年『刑法と刑事訴訟法との交錯』、1957年と1964年『刑法綱要総論・各論』を著して、人格形成責任論にたつ古典的刑法理論を展開した。また、1949年日本刑法学会を創設し、1963年同理事長。刑法改正準備委員会、法制審議会の各委員を務め、1961年改正刑法準備草案、1972年改正刑法草案、1974年改正刑法草案の立案に参加した。1974年最高裁判所判事、1981年日本学士院会員、1986年に文化功労者となった。

[編集部]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「団藤重光」の解説

団藤重光 だんどう-しげみつ

1913-2012 昭和-平成時代の法学者,裁判官。
大正2年11月8日生まれ。昭和22年東大教授。49年慶大教授,最高裁判事。司法省嘱託として戦後の新刑事訴訟法の立案に参画して以来,おおくの刑事関連法の立案にかかわる。また死刑廃止論をとなえた。56年学士院会員。61年文化功労者。平成7年文化勲章。平成24年6月25日死去。98歳。学士院会員。山口県出身。東京帝大卒。著作に「刑法綱要総論」,「刑法紀行」(昭和43年日本エッセイスト・クラブ賞)など。

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