コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

国民投票法 こくみんとうひょうほう

知恵蔵の解説

国民投票法

憲法改正のための手続きを定めた法律で、2007年5月14日に成立。 憲法改正には、衆参両院で総議員の3分の2以上の賛成を得て改憲案が「発議」され、国民投票過半数の賛成を得ることが必要とされている(憲法96条)。しかし、その具体的な手続きを定めた法律はこれまでなかった。改憲を掲げた安倍首相が法制定を推進し、民主党など野党の反対を押し切った。 国民投票の対象テーマとしては、一般的な国政上の重要課題も含めるべきだとの議論もあったが、最終的には憲法改正に限定されることになった。 国会が改憲を発議してから60日以降180日以内に投票を実施。公務員と教育者について「地位を利用」した運動は禁じられる。 投票年齢は18歳以上とされた。これに伴い現在20歳以上の選挙権年齢や民法上の「成年」年齢も引き下げることも検討されることになる。 公布後3年間は改憲原案の国会への提出、審議は凍結される。

(根本清樹 朝日新聞記者 / 2008年)

国民投票法

正式には「日本国憲法の改正手続に関する法律」。2007年5月14日に国会で成立し、5月18日に公布。一部を除いて2年後の10年5月18日に施行される。日本国憲法第96条は、憲法改正手続きとして衆参両院の総議員の3分の2以上の賛成で国会が発議し、国民投票に付し、その過半数の賛成を得なくてはならないと定めている。だが、憲法改正原案の提出手続き、国民投票の投票権者や投票方法などについては、何ら規定していない。日本国憲法の改正問題が政治の議題とされたのは、1999年の通常国会において憲法調査会の設置が定められて以降である。その後、改正手続法の「不備」が問題視され、2006年には自民・公明党案と民主党案が提出された。憲法改正に熱意を燃やした安倍政権は、与党単独でも成立を図るとした。成立した国民投票法は、国会への憲法改正原案の発議について、(1)憲法審査会を国会に設置し、改正原案について審理を行う、(2)改正原案は衆議院100人以上、参議院50人以上の賛成で国会に提出できる、(3)原案の発議は内容において関連する事項ごとに区分して行う、としている。ただし、法公布から3年間は憲法改正原案の発議を禁じている。また、国民投票については、(1)投票権者は18歳以上の日本国民、(2)国会発議後60〜180日間に国民投票を行う、(3)有効投票の過半数の賛成で改正原案は成立、(4)公務員や教員の地位を利用した投票運動を禁止する、(5)テレビ・ラジオによるコマーシャルは投票日の2週間前から禁止する、などを定めている。ただし、最低投票制度を定めていないことやテレビ・ラジオの規制、教員の「地位利用」と教育の関連性などについて、国民投票法への疑問を提示する声はなお大きい。

(新藤宗幸 千葉大学法経学部教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

国民投票法

憲法改正に必要な国民投票の手続きを定めた法律で、第1次安倍政権の2007年に成立した。衆参の各総議員の3分の2以上の賛成で発議された改正案について、国民投票で過半数が賛成すれば承認される。法律では投票権を18歳以上としたが、成人や選挙権の年齢を18歳以上に引き下げるまでは、暫定的に20歳のままとした。第2次安倍政権では、国民投票を先行させて18歳以上に確定しようとしたが、自民党内で異論噴出。自民、公明両党の改正法案では、引き下げを4年間先送りする内容となった。

(2014-02-06 朝日新聞 朝刊 4総合)

国民投票法

憲法96条が規定する改憲に必要な手続きを定め、第1次安倍政権の2007年に成立した。衆院100人以上、参院50人以上の賛成で発議された改正原案を両院の憲法審査会で審査し、各本会議で総議員の3分の2以上の賛成により改正案を発議。国民投票で有効投票の過半数が賛成すれば承認される。自由な意見表明のため規制は最小限で、通常の選挙では禁じられている戸別訪問署名運動もできる。

(2017-05-31 朝日新聞 朝刊 3社会)

出典 朝日新聞掲載「キーワード」朝日新聞掲載「キーワード」について 情報

デジタル大辞泉の解説

こくみんとうひょう‐ほう〔コクミントウヘウハフ〕【国民投票法】

《「日本国憲法の改正手続に関する法律」の通称》日本国憲法の改正について国民の賛否を問う投票の手続きを定めた法律。国会が憲法改正を発議した日から60日以後180日以内に国民投票を行い、投票権は満18歳以上の日本国民が有する。ただし、2018年までは満20歳以上となる。平成19年(2007)5月成立。平成22年(2010)5月施行。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

百科事典マイペディアの解説

国民投票法【こくみんとうひょうほう】

正式には〈日本国憲法の改正手続に関する法律〉。2007年5月成立・公布。一部を除いて2010年5月施行。日本国憲法第96条は憲法改正手続きとして衆参両院の総議員数の3分の2以上の賛成で国会が発議し国民投票に付しその過半数の賛成をえなければならないと定めている。
→関連項目安倍晋三内閣解釈改憲

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

国民投票法
こくみんとうひょうほう

日本国憲法の改正手続に関する法律」のページをご覧ください。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

国民投票法
こくみんとうひょうほう

正式名称は「日本国憲法の改正手続に関する法律」。平成19年法律第51号。2007年(平成19)5月18日に制定され、施行は3年後の2010年5月18日である。この法律は、日本国憲法第96条に定める日本国憲法の改正について、国民の承認に係る投票手続と憲法改正の発議手続について定めている(1条)。
 日本国憲法第96条1項の規定が示すように、憲法の改正は衆・参各院の総議員の3分の2以上の賛成を経て、国会が国民に提案し、国民の過半数の承認を得なければならない。そのための投票の手続である。内容は次のようになっている。
 第一に、この国民投票法は、一般的国民投票ではなく、憲法改正に限定されている。
 第二に、投票年齢については、満18歳以上の者である。ただし、公職選挙法等の改正により国政選挙に参加する年齢が満18歳以上に改められるまでの間は満20歳以上の者としている(附則3条)。また、在外投票人についても所定の手続により認められている(33条~46条、62条、124条)。
 第三に、投票は国民投票に係る憲法改正案ごとに、一人一票で行われる(47条)。
 第四に、憲法改正案に賛成するときは投票用紙に印刷された賛成の文字に○の記号を、反対するときは反対の文字に○の記号を自筆する(57条)。
 第五に、衆・参各院10人ずつで構成する「国民投票広報協議会」を国会に設置し、改正案およびその要旨、改正事項の分かりやすい説明、国民投票公報の原稿の作成などを行う(11条~19条)。
 第六に、国民投票運動(憲法改正案に対して、賛成あるいは反対の投票をするように、またはしないように勧誘する行為)について留意規定をおき、「表現の自由、学問の自由及び政治活動の自由その他の日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に侵害しないように留意しなければならない」(100条)といった規定をおき、国民投票運動の自由を保障する。公務員等および教育者の地位利用による国民投票運動の禁止、投票目前の広告放送等についても一定の制限をおいている(100条~108条)。そのほか、組織的多数人買収及び利害誘導罪(109条)、国民投票の自由妨害罪(111条)、投票の秘密侵害罪(112条)、投票干渉罪(113条)等の罰則を定めている。裁判官、検察官、警察官の国民投票運動の禁止について論議されたが、特別な規制はない。
 この法律が制定されることによって、憲法改正が促進されるとの批判もあったが、この法律の施行を3年後とすることで、その間の改正案の審査、提出を避けている。[吉田善明]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

国民投票法の関連キーワード民法の成年年齢の引き下げ論議憲法改正に向けた動き自由民主党(日本)自民党新憲法草案日本での住民投票第164通常国会憲法改正への動きモンテネグロ独立憲法改正の論議在外投票人名簿18歳選挙権投票人名簿18歳問題安倍晋三安倍内閣福田内閣

今日のキーワード

ブラックフライデー

米国などで、感謝祭(11月第4木曜日)の翌日の金曜日のこと。休日とする職場が多く、商店にとってはクリスマス商戦の初日に当たる。「ブラック」は、買い物客による混雑、または黒字を連想させることから。→サイ...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

国民投票法の関連情報