園地(読み)エンチ

デジタル大辞泉 「園地」の意味・読み・例文・類語

えん‐ち〔ヱン‐〕【園地/×苑地】

自然公園で、公園施設を設けた区域
公園・庭園などになっている土地
律令制で、口分田くぶんでんほかに、桑や漆を植えるために、私有財産として与えられていた土地。

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精選版 日本国語大辞典 「園地」の意味・読み・例文・類語

えん‐ちヱン‥【園地】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 公園、庭園など園と呼ばれる地域
  3. 令制で、口分田(くぶんでん)のほか各戸に給与された畑地。不輸租地。果樹、桑、漆などを栽培する。その家が絶えたときは国に没収される。〔令義解(718)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「園地」の意味・わかりやすい解説

園地
えんち

古代律令(りつりょう)制下における地目の一つ。田令(でんりょう)の規定によれば、園地は「地の多少に随(したが)って均給す」と定められているが、その班給額については口分田(くぶんでん)の場合のように明記されていない。また園地は、いったん班給されると絶戸にならない限り収公されず、相続も認められ、売買所定手続をとれば可能であった。その意味では、同じく売買が認められている「宅地」とともに私有地的性格の濃い地目であった。「園地」の語は、(1)クワ、ウルシの栽培が義務づけられている地、(2)蔬菜(そさい)や果樹の栽培されている地、という両様の意味で用いられているが、田令条文の配列から考えると、園地という地目を設けた基本的意図は(1)にあったようである。

[村山光一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「園地」の意味・わかりやすい解説

園地
えんち

古代,律令制における宅地に付属した畠地をいう。各戸に均給されたが,班給の規準は明らかでない。特定数の桑,漆の栽培を指定されたが,必ずしも実行されなかった。絶戸になった場合を除き,世襲,売買,質入れは自由で,土地私有の発展のよりどころとなる。平安時代末期には地子賦課の対象となり,さらには宅地と合体して在家役賦課の対象ともなった。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「園地」の解説

園地
えんち

田令に規定された地目。田令の構成から蔬菜や桑・漆等を植える地であったらしい。地の多少にしたがって等しく与えられ,絶戸の場合のみ国家に返還し,数年にわたる賃租や永売も許される規定であった。しかし収授の実例は史料にみえず,経営の実際も明らかではない。のちに雑穀を植える地として陸田が制度化され,11世紀以降には畠地子経営も発展するが,園地・陸田・畠の関係は未詳である。

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旺文社日本史事典 三訂版 「園地」の解説

園地
えんち

律令制において,口分田のほかに各戸に給付された畑地
地域によって面積は一定せず,果樹・野菜・桑・漆などを栽培した。戸が絶えない限り返却の必要はなく,不輸租地であった。賃租・売買も自由で富豪への土地集中の大きな要因となった。

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普及版 字通 「園地」の読み・字形・画数・意味

【園地】えんち

はたけ。

字通「園」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の園地の言及

【園】より

…日本の古代・中世における畠地の一種。本来〈園地(えんち)〉〈園〉〈園圃〉は,水稲以外のものを栽培する土地に与えられた律令用語であった。宅地と一括して園宅地として理解する説もあるが,園地と宅地は同質ではない。…

※「園地」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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