地獄の沙汰も金次第(読み)ジゴクノサタモカネシダイ

デジタル大辞泉 「地獄の沙汰も金次第」の意味・読み・例文・類語

地獄じごく沙汰さた金次第かねしだい

地獄裁判も金の力で有利になる。この世はすべて金の力で左右されるというたとえ。
[類語]仏の光よりかねの光阿弥陀あみだぜにほど光る金が物を言う

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精選版 日本国語大辞典 「地獄の沙汰も金次第」の意味・読み・例文・類語

じごく【地獄】 の 沙汰(さた)も=金次第(かねしだい)[=銭次第(ぜにしだい)

地獄で受ける裁判も金を出せば有利になるというくらいだから、ましてこの世では、金さえあれば何事も思うがままだというたとえ。地獄の沙汰も金。地獄極楽の道も銭。
※談義本・根無草(1763‐69)前「お為ごかしの数通願書、地獄の沙汰も銭次第、油断せぬ世の中とぞ知られける」

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ことわざを知る辞典 「地獄の沙汰も金次第」の解説

地獄の沙汰も金次第

地獄のえん様の裁きも金で左右されるというくらいだから、この世では、金さえあればたいていのことは何とでもできる。

[使用例] 牢名主花鳥の噂が出た。花鳥が若い女たちをおもちゃにして、毎日うなぎ飯を食わせるというのが不審の種で、地獄の沙汰も金次第といいながら、牢内で鰻めしを食えば一杯一両にもあたる。島破りの女が百両も二百両も持っているのは、何かの仔細が無くてはならない[岡本綺堂*半七捕物帳|1923]

[使用例] 地獄の沙汰も金次第、銭のもうからない奴は相手にならぬ。銭の価値を知らぬ奴は世渡りができぬ。算盤珠のはじけぬ奴は仲間に入れぬといわぬばかりの口調である[長岡半太郎*大阪といふところ|1936]

[解説] 古くは「地獄の沙汰も銭がする」といいましたが、江戸後期には現在の形で使われるようになっています。このことわざが昔からよく使われる背景には、戒名などの信者の扱いが寺への寄進額の多寡によって大きく変わる現実がありました。また、かつて「地獄」と呼ばれた牢獄遊廓ばかりでなく、この世の中のさまざまな領域金銭がどれほど大きな威力を発揮するか、骨身にしみて認識した上での表現といえるでしょう。
 ただし、その用法は、文脈によって大きく変わります。賄賂など、金銭の威力を全肯定し、私利私欲を追求してはばからない処世法につながる一方で、まったく逆に、社会の現実を鋭くえぐり出すシニカルな批判として使われることも少なくありません。

〔英語〕Money makes the mare to go.(金は雌馬を歩かせる)

〔中国〕有銭能使鬼推磨(銭さえあれば地獄の鬼に石臼を挽かせることもできる)

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