日本大百科全書(ニッポニカ) 「坂城」の意味・わかりやすい解説
坂城(町)
さかき
長野県中東部、埴科郡(はにしなぐん)の町。1904年(明治37)町制施行。1955年(昭和30)南条、中之条の2村を合併。1960年千曲(ちくま)川を隔てた村上村と合併。周囲を山で囲まれ、町域の中央を北流する千曲川両岸に狭い平地がある。千曲川に沿ってしなの鉄道、国道18号が通じる。山麓(さんろく)部を上信越自動車道が通り、坂城インターチェンジがある。中心の坂城は、近世は北国(ほっこく)街道の坂木宿であり、坂木代官所が置かれたが、明治以後、街道交通の機能を失い衰退した。平地に乏しく、農耕地が少ないため、第二次世界大戦前から工業に活路を求めて工場の誘致に努めていた。また満州、朝鮮などに移住した町民が、第二次世界大戦の敗戦で引き揚げてきて、家族で零細な工業を始めたのが今日の発展の契機となり、県下有数の機械工業の町となった。農業はブドウ、リンゴ栽培やバラ、カーネーションなどの花卉(かき)栽培が行われる。町の北方の葛尾(かつらお)山頂には戦国末に甲州の武田氏に敗れた村上氏の山城(やまじろ)跡があり、南麓に菩提(ぼだい)寺村上山満泉寺(まんせんじ)がある。面積53.64平方キロメートル、人口1万4004(2020)。
[小林寛義]