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多目的ダム たもくてきダムmultipurpose dam

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

多目的ダム
たもくてきダム
multipurpose dam

発電用水,灌漑用水,水道用水,工業用水水運,流量調節による洪水防止など,多角的に利用する目的で造られたダム。多目的ダムの建設は総合開発の主要な手段の一つで,アメリカのテネシー川流域開発公社 TVAでも,テネシー川総合開発のためウィルソン・ダムをはじめ多くの多目的ダムを建設した。日本でも第2次世界大戦後,国土総合開発法 (昭和 25年法律 205号) に基づく特定地域総合開発で電源開発灌漑用水,治山治水のための佐久間ダムをはじめ多くの多目的ダムが建設されたが,今日でも貯水施設の代表として一時代を画している。

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デジタル大辞泉の解説

たもくてき‐ダム【多目的ダム】

洪水調節・発電・灌漑(かんがい)・上水道などの目的を兼ねて築造されたダム。

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百科事典マイペディアの解説

多目的ダム【たもくてきダム】

発電,洪水調節,工業用水,水道用水,灌漑(かんがい)用水など各種の目的を兼ねるダム。群馬県の矢木沢ダム,神奈川県の相模ダム,宮城県の鳴子(なるこ)ダムなどが代表的。
→関連項目治水

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世界大百科事典 第2版の解説

たもくてきダム【多目的ダム multipurpose dam】

単一ではなく,いくつかの目的に供されるダム。日本では法的には1957年制定の特定多目的ダム法によって規定されており,建設大臣によって新築されるダムで,洪水などによる災害の発生を防ぐか軽くし,河川に平常流れている流水の機能を維持もしくは増進するとともに,流水の貯留を利用して発電,水道または工業用水道の用に供されるものをいう。したがって,多目的ダムにおいて,その主目的は洪水調節におかれる。
[歴史的経緯]
 日本における多目的ダムの発祥は1937年に開始された河水統制事業に始まる。

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大辞林 第三版の解説

たもくてきダム【多目的ダム】

洪水の調節、水道・灌漑かんがい・工業用水の取水、発電用水の貯水など複数の目的に供するダム。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

多目的ダム
たもくてきだむ
multipurpose dam

ダム建設の目的には洪水調節や上水道、工業、灌漑(かんがい)、水力発電などの用水の供給、舟運の改善などがあるが、二つ以上の目的に供するために建設されるダムをいう。一つだけの目的のために建設されるダムは専用ダムという。ダムの建設に適した地点に限りがあり、またダムの建設には多額の費用がかかるので、ダムを効率的に利用するために多目的ダムが計画される。多目的ダムの計画にあたっては、各目的間の調整をし、費用分担を決め、貯水池の容量配分を行い、貯水池の効率的な運用を図ることが必要になる。2011年版ダム年鑑(日本ダム協会)によると、日本には多目的ダムは773あり、ダム総数の約28.5%に当る。洪水調節と上水道、灌漑、発電の用水供給、維持流量供給のために築造された八木沢ダム(アーチダム、群馬県利根川、高さ131メートル、1967年竣工)、洪水調節と上水道、工業、灌漑、発電の用水供給のための岩屋ダム(傾斜土質遮水壁型ロックフィルダム、岐阜県木曽川水系馬瀬川、高さ127.5メートル、1976年竣工)、洪水調節と上水道、工業、発電の用水供給のための手取川(てどりがわ)ダム(中央土質遮水壁型ロックフィルダム、石川県手取川、高さ153メートル、1979年竣工)などがある。川 登]

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世界大百科事典内の多目的ダムの言及

【河川総合開発】より

… 日本では河川総合開発の名のもとでの流域開発は,1950年の国土総合開発法施行に伴い正式に始められた。北上川などに象徴されるように,一水系に多数の多目的ダムを築き,洪水を調節して下流の洪水規模を小さくし水害を減少させるとともに,農業用水などを開発して食糧増産を促進し,かつ発電水力を発生させて工業生産や都市生活の向上を目ざすものであった。とくに第2次世界大戦後の十数年間は,毎年のように大水害に見舞われ,かつ食糧危機やエネルギー不足に悩んでいたため,河川総合開発は国土開発における最重点課題であった。…

【ダム】より

… 60年代に入ると,有利な水力地点が少なくなり,伸び続ける電力需要に対して発電原価の安い重油専焼の大容量火力発電が開発され,水力発電は負荷変動に対する即応性を利用するものに重点がおかれるようになって,揚水発電のダムが登場してきた。そして,ほぼ65年を境として,それまでの発電専用ダムから,洪水調節,都市用水をおもな利用目的とする多目的ダムの建設に主流が移ってきている。これらのダムは人口の多い都市への給水を対象とするため,地形,地質に恵まれなくても建設しなければならず,このため技術的困難を伴うばかりでなく,さらに水源地域と受益地域との利害の調整をする必要があるなどむずかしい問題をかかえているが,河川総合開発事業として,95年までに約380のダムが竣工している。…

【地域開発】より

…歴史的にみれば,それは以下のように四つに分類できる。(1)多目的ダムを中心とする河川総合開発方式 この方式は戦前から行われ,戦後1950年代にTVAを模範として行われた。1950年〈国土総合開発法〉が立法されたが,これに基づく全国総合開発計画の策定は62年まで進まなかったので,当時の戦災による産業の荒廃,植民地の喪失と引揚者,兵士の大量の引揚げによる失業の増大による地域問題に対処するために,同法による特定地域総合開発計画が行われた。…

【貯水池】より

…渇水時に上水道用,農業用または発電用に水を補給するためのものであるが,近年は洪水調節を目的に含む貯水池がつくられており,洪水期には貯水池の水位を下げておき,洪水を貯留することによって下流の洪水被害を軽減するとともに,水利用にも役だてようとしたものがある。この目的でつくられるダムを多目的ダムという。なお,天然の湖沼の水の流出口に水門やダムを設けて湖沼の貯水容量を増加し,貯水池と同様の機能をもたせる場合もある。…

※「多目的ダム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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