日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
大学改革支援・学位授与機構
だいがくかいかくしえんがくいじゅよきこう
大学、短期大学、高等専門学校および大学共同利用機関の教育研究活動の状況を評価し、国立大学法人等の施設整備等に必要な資金の貸付・交付をし、大学以外の高等教育段階での学習成果を評価して学位を授与するために設置された、文部科学省所管の独立行政法人。英語名はNational Institution for Academic Degrees and Quality Enhancement of Higher Education、略称はNIAD-QE。「独立行政法人大学改革支援・学位授与機構法」(平成15年法律第114号)に基づいて2016年(平成28)設立。本部は東京都小平(こだいら)市学園西町。
1991年(平成3)7月に、従来、大学卒業者にしか与えられなかった学士号を、防衛大学校、気象大学校の卒業生、さらには短期大学、高等専門学校を卒業して大学などで必要な単位を累積取得した者などにも授与する学位授与機構が設置され、各省庁所管の大学や大学院相当の機関について「課程認定」を行った。1992年3月からは学部相当の課程を終えた者は学士の学位、修士論文や博士論文を受理され、審査に合格すれば、修士、博士の学位が授与されるようになった。一方、1998年には、大学審議会のまとめた「21世紀の大学像と今後の改革方策について」の答申において大学評価のための第三者機関を設置する必要があるとの提言がなされ、学位授与機構が教育機関評価業務も行うこととなり、2000年4月に大学評価・学位授与機構へと改組。2004年4月、独立行政法人に再編成された。2011年度で短期大学の機関別認証評価事業は終了。2016年4月、大学の教育・研究活動と経営改革支援とを一体的に行うことを目的として国立大学財務・経営センターと統合・再編し、現名称に変更された。
学校教育法によって国・公・私立大学(短期大学を含む)および高等専門学校は、その教育研究水準の向上に資するために教育研究、組織運営および施設設備の総合的な状況に関して7年以内ごとに文部科学大臣が認証する評価機関(認証評価機関)の実施する評価を受けることが義務づけられている。また、専門職大学院(法科大学院など)は、その教育課程、教員組織その他教育研究活動の状況に関して5年以内ごとに認証評価機関の実施する評価を受けることが義務づけられている。そこで、大学改革支援・学位授与機構法では、その設置目的を国立大学法人、高等専門学校、大学共同利用機関の教育研究活動の状況についての評価等を行うことにより、その教育研究水準の向上を図るとともに、それらの機関に施設整備等に必要な資金の貸付・交付を行うとしている。またこれとあわせて大学以外で行われる高等教育段階でのさまざまな学習の成果を評価して学位の授与を行うことにより、多様な学習の成果が適切に評価される社会の実現を図り、高等教育の発展に資することとしている。おもな業務は以下のとおりである。
(1)大学等の教育研究活動等の状況について評価し、その結果を当該大学等およびその設置者に提供し、ならびに公表すること。
(2)国立大学法人、大学共同利用機関法人に対して土地の取得、施設の設置・整備、設備の設置に必要な資金の貸付または交付を行うこと。
(3)学士、修士、博士の学位を授与すること。
(4)大学等の教育研究活動等の評価に関する調査研究、学位授与のために必要な学習の成果の評価に関する調査・研究。
(5)大学等の教育研究活動等の状況についての評価に関する情報、および大学における各種の学習の機会に関する情報の収集、整理および提供を行うこと。
(6)国立大学法人評価委員会からの要請に基づき、国立大学および大学共同利用機関の教育研究活動に関する評価を行い、その結果を国立大学法人評価委員会および当該機関に提供し公表すること。
[編集部 2017年7月19日]