日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
大学設置・学校法人審議会
だいがくせっちがっこうほうじんしんぎかい
文部科学省に附属している合議制の機関(国家行政組織法8条および文部科学省組織令75条)。大学設置審議会および私立大学審議会が1987年(昭和62)に再編統合されて以降、文部省に設置されていたが、2001年(平成13)に実施された中央省庁再編により文部科学省に引き継がれることとなった。その委員は、大学・高等専門学校の職員、私立大学・私立高等専門学校の職員またはこれらを設置する学校法人の理事、学識経験者から、文部科学大臣が任命した者(29名以内)で構成される(大学設置・学校法人審議会令1条・2条)。委員の任期は2年である(同令3条)。審議会の下部機関として、大学設置分科会および学校法人分科会が設置されている(同令5条)。
所掌事務は、学校教育法、私立学校法および私立学校振興助成法の規定に基づいて授権された事項を処理することである(文部科学省組織令78条)。以上の所掌事務のうち、大学設置分科会の所掌事務は学校教育法に基づいて審議会に授権された事項(学校法人分科会の所掌に属するものを除く)を処理することであり(大学設置・学校法人審議会令5条2項)、学校法人分科会の所掌事務は私立学校法、私立学校振興助成法および学校教育法に基づいて審議会に授権された事項を処理することである(同令5条3項)。
大学設置分科会が処理する事項は、文部科学大臣が、学校教育法に基づき、公立または私立の大学・高等専門学校等の設置の認可(学校教育法4条1項)、公立または私立の大学・高等専門学校の設置者に対する命令(同法4条3項)および同大学・高等専門学校に対する勧告(同法15条1項)または命令(同法15条2項・3項)を行うにあたり、同大臣から諮問を受けて答申を行うことである(学校教育法95条・123条、学校教育法施行令43条、大学設置・学校法人審議会令5条2項)。また、学校教育法に基づく諮問以外にも諮問(意見伺い)を受けることがある(たとえば、国立大学法人法に基づく国立大学の設置など)。
学校法人分科会が処理する事項は、文部科学大臣が、学校教育法に基づき、私立の大学および高等専門学校の廃止・設置者の変更等を行う場合(学校教育法4条1項)、私立学校法に基づき、学校法人の収益事業の種類を定める場合(私立学校法26条1項)、学校法人の寄付行為の認可(同法31条1項)、寄付行為の補充(同法32条1項)、学校法人の解散の認可または認定(同法50条2項)、学校法人に対する収益事業の停止命令(同法61条1項)、学校法人に対する解散命令(同法62条1項)などを行う場合、私立学校振興助成法に基づき、学校法人に対する収容定員超過の是正命令(私立学校振興助成法12条2号)、学校法人に対する予算の変更勧告(同法12条3号)、役員の解職勧告(同法12条4号)を行う場合に、同大臣から諮問を受けて答申を行うことである(学校教育法95条、学校教育法施行令43条、大学設置・学校法人審議会令5条3項、私立学校法8条2項・31条2項・32条2項・50条3項・61条2項・62条2項、私立学校振興助成法12条の2第1項・13条1項)。このほかに、学校法人分科会は、文部科学大臣が、学校法人に対して措置命令(私立学校法60条1項)や解散命令(同法62条1項)を行う場合に、同大臣にかわって、弁明の機会や意見聴取に係る手続を実施することがある(同法60条4項・62条4項)。
[山田健吾 2018年8月21日]