昔話。途方もない空想的な誇張を主題にした一群の笑話。嘘話(うそばなし)で、空想的な事柄を、現実感豊かに表現するところに話の興味がある。「鴨(かも)取り権兵衛(ごんべえ)」はその典型的な例である。猟師が鴨をとりに池に行く。1発で鴨が3羽とれ、その流れ弾が、やぶにいた狐(きつね)に当たる。狐は苦しがって土をかき、長芋(ながいも)を25本掘る。池に入ると、もんぺの中にエビが5升も入る。池から上がろうとすると、腰にぶら下げた鴨が羽ばたいて猟師は空に舞い上がり、京の五重塔の上に落とされる。屋根の上から下を眺めていると、上方(かみがた)見物にきた同郷人が下から声をかける。男は、京の高見の見物にきたと答える。空想の連鎖譚(たん)で、その内容にはさまざまな変化がある。江戸時代から人気のある笑話であり、江戸前期の赤本『ただとる山のほととぎす』や、黄表紙の『虚言(うそ)八百万八伝』(1779)や『啌多雁取帳(うそしっかりがんとりちょう)』(1783)などにもとられ、漢文の小咄(こばなし)集『奇談一笑』(1768)にもみえている。このほか「源五郎の天昇り」など、いくつかの嘘話が知られているが、語りの形式に主眼を置く早(はや)物語には、「テンポ(嘘)語り」といって、奇想天外なことを次々と展開させていく語物がいろいろある。嘘話は古くは『今昔物語集』にもある。川が洪水のとき屋根裏に逃げる。屋根ごと流されるが、炊事の火で燃え上がり、皆焼け死ぬ。1人だけ水に飛び込んで逃げ、水面に出ている木につかまる。水が引くと、山の上から深い谷の上に生えている木の上にいる。網をたくさん集めて張った上に飛び降りて助かる。ヨーロッパにも嘘話は発達しており、やはり狩猟に関するものが目立つ。嘘話の集成として有名なドイツの『ミュンヒハウゼン男爵の冒険』(1786)にも、日本の嘘話と共通するものが少なくない。
[小島瓔]
各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...
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