大麻比古神社(読み)おおあさひこじんじゃ

精選版 日本国語大辞典 「大麻比古神社」の意味・読み・例文・類語

おおあさひこ‐じんじゃおほあさひこ‥【大麻比古神社】

  1. 徳島県鳴門市大麻町板東にある神社。旧国幣中社。祭神は大麻比古神、猿田彦神。阿波・淡路両国の総産土(うぶすな)神として広く崇敬を受けた。阿波国一の宮。大麻大明神。大麻(おわさ)さん。

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日本歴史地名大系 「大麻比古神社」の解説

大麻比古神社
おおあさひこじんじや

[現在地名]鳴門市大麻町板東

大麻山南麓の字広塚ひろつかにある。主祭神は大麻比古大神・猿田彦大神の二神とされている。旧国幣中社。阿波・淡路両国の総産土神として崇められ、江戸時代には大麻大明神とよばれていて、庶民からは交通安全の神として「おわさはん」の名で親しまれた(阿府志)別当寺は四国霊場八十八ヵ所第一番札所霊山りようぜん寺であった。

延喜式」神名帳記載の板野いたの郡の名神大社「大麻比古神社」は当社に比定され、阿波国一宮あわのくにいちのみやに擬せられている。天安三年(八五九)一月二七日「大麻比古神」は従五位下から従五位上、貞観九年(八六七)四月二三日には正五位上、元慶二年(八七八)四月一四日には従四位下、同七年一一月一日には従四位上の神階を授けられた(三代実録)。承暦四年(一〇八〇)六月には白河天皇の不例が諸神の過穢による祟りであるとの卜奏があり、「大麻神」などに中祓が命じられた(同年六月一〇日「神祇官奏」朝野群載)。永万元年(一一六五)六月の神祇官年貢進納諸社注文写(永万文書)によれば、大麻社は炭五〇籠・薪五〇束の進納が割当てられていた。室町末期には三好氏の保護を受け、阿州三好記並寺立屋敷割次第(徴古雑抄)によれば、宮地一町七反と山を与えられ、宮・舞堂・拝殿・御供堂、三好氏寄進の石灯籠一〇〇本・金灯籠五〇本などがあったという。

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改訂新版 世界大百科事典 「大麻比古神社」の意味・わかりやすい解説

大麻比古神社 (おおあさひこじんじゃ)

徳島県鳴門市大麻町に鎮座。大麻比古神,猿田彦大神をまつる。《古語拾遺》によると,神武天皇の時代,太玉命(大麻比古神)の孫,天富命は,肥沃の地を阿波国に求め,榖(かじ)と麻の種を植えたという。のちに天富命が阿波国の守護神として太玉命をまつる太玉命社を建てたのが,当社のはじめといわれている。猿田彦大神は古く大麻山の峰にまつられていたが,のち,当社に合祀されたと伝えられる。古来,衆庶の篤い信仰が寄せられ,883年(元慶7)従四位上の神位を賜り,《延喜式》には名神大社として見え,阿波国一宮でもあった。大祭は11月1日。旧7月18日には奥宮例祭があり,大麻山頂にある奥宮峯神社の神幸祭がある。旧国幣中社。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大麻比古神社」の意味・わかりやすい解説

大麻比古神社
おおあさひこじんじゃ

徳島県鳴門(なると)市大麻町に鎮座。大麻比古大神(おおかみ)を主神とし、猿田彦(さるたひこ)大神を配祀(はいし)する。創建年代不詳。社伝では、天太玉命(あめのふとだまのみこと)の子孫天富命(あめのとみのみこと)が勅命を受け、阿波(あわ)国に至り、粟(あわ)、麻などを植え殖産興業の基を開き、大麻比古神を奉斎したことに始まるという。859年(貞観1)に従(じゅ)五位上、883年(元慶7)に従四位上、延喜(えんぎ)の制で名神(みょうじん)大社に列した。中世以降、細川、三好(みよし)、蜂須賀(はちすか)氏ら武将に崇敬され、神領寄進また社殿の造営を受けた。明治の制で国幣中社。例祭11月1日のほか、特殊神事に鎮火祭(2月節分)、大御神楽祭(おおみかぐらさい)、湯神楽祭(いずれも旧暦3月12日)などがある。

[鎌田純一]


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百科事典マイペディア 「大麻比古神社」の意味・わかりやすい解説

大麻比古神社【おおあさひこじんじゃ】

徳島県鳴門市大麻町板東に鎮座。旧国幣中社。大麻比古神(天太玉(あめのふとだま)命)をまつる。その子孫天富(あめのとみ)命が,殖産の徳を仰いでまつったといわれる。延喜式内の名神大社とされ,阿波国一宮。阿波・淡路両国の総産土神として崇敬された。例祭は11月1日。湯立神事を随時行う。

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デジタル大辞泉プラス 「大麻比古神社」の解説

大麻比古神社

徳島県鳴門市にある神社。延喜式内社。祭神は大麻比古大神(おおあさひこのおおかみ)、猿田彦大神(さるたひこのおおかみ)。阿波国一之宮。交通安全の神として信仰を集める。

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