出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
静岡県、伊豆半島中央部、伊豆市と賀茂(かも)郡河津町との間にある峠。標高840メートル。北伊豆と南伊豆との境界をなし、狩野川(かのがわ)と河津川との分水界である。国道414号、通称下田街道(しもだかいどう)が越える。かつての天城越(ごえ)の峠路は、現在の峠の西方にある二本杉峠を通っていた。1905年(明治38)長さ446メートルの旧天城トンネルが開通し、1970年(昭和45)に長さ800メートルの新天城トンネルが有料道路で開通した(2000年無料化)。島崎藤村、田山花袋(かたい)らが紀行文に記し、とくに川端康成(やすなり)の『伊豆の踊子』に登場するのは、旧天城トンネルと天城峠で、旧道は「踊り子コース」として観光用の遊歩道となっている。峠から東へは八丁(はっちょう)池を経て天城連山へ、西は猫越(ねっこ)火山から仁科(にしな)峠への稜線(りょうせん)が縦走コースとなる。峠一帯は「昭和の森天城山自然休養林」に指定され、施設整備が進められている。
[北川光雄]
静岡県伊豆半島中央部の峠。標高約820m。伊豆市と賀茂郡河津町との境界をなし,狩野川沿いの口伊豆と河津川沿いの奥伊豆との分水界にもあたる。天城越えは峠七里と呼ばれ,古くは南斜面の新山峠から古峠を経由したが,宗太郎から中間業を越える道,大川端から二本杉峠を越える道などに移行し,1905年に長さ446mのトンネルが開通した。国道414号線(下田街道)にほぼ並行して70年に天城トンネル(長さ800m)の有料道路(2000年無料開放)が完成し,旧道は〈踊り子ライン〉という観光遊歩道となった。峠から東へは八丁池,白田峠,万二郎岳へとつづく天城連山の稜線,西は猫越(ねつこ)火山から天城育成牧場へと縦走路がのびている。一帯は御料林,国有林として保護されてきた森林で,天城は甘木に由来しているといわれる。八丁池,天城峠,滑沢渓谷などをふくむ一帯は昭和の森天城自然休養林に指定されている。
執筆者:北川 光雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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