律令制の陰陽(おんみょう)寮に属し,天文を読みとること,天文の読みとり方を天文生に教えることを職務とする教官。正七位下相当。平安時代以降は天文道の極官。定員1人,のち権博士1人がおかれた。中国では隋・唐初に天文博士がおかれている。天文博士は天文異変を見つけると,異変とその解釈を書き記して密封し,天皇に奏上したが,これを天文密奏という。院政期以降は安倍氏が独占した。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…太陽,月,星,風,雲などの天然現象を観測し,その変異によって吉凶禍福を判断する術で,陰陽道(おんみようどう)と深い関係にある迷信的なものであった。日本には7世紀初頭に百済より僧観勒によって伝えられたのが最初とされるが,律令官制では中務省の被管の陰陽寮に天文博士1人を置いてそのことをつかさどらせ,また天文生10人に技術を伝授した。当時,天文に関する図書は関係者以外は見ることを許されず,また天文生は観測結果を他人にもらすことを禁ぜられるなど,厳しく規制されていた。…
※「天文博士」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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