天文博士(読み)てんもんはかせ

精選版 日本国語大辞典 「天文博士」の意味・読み・例文・類語

てんもん‐はかせ【天文博士】

〘名〙 令制で、陰陽寮にあって天文気象を観測し、もし変異があればその情況意味を上奏する官人。正七位下相当の官。また、部下天文生一〇人をおく。天文の博士。〔令義解(718)〕
今昔(1120頃か)二〇「天文博士〈略〉勘文奉れば」

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デジタル大辞泉 「天文博士」の意味・読み・例文・類語

てんもん‐はかせ【天文博士】

律令制で、陰陽寮に属し、天文の観測と天文生の教授とに当たった職。天文の博士。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「天文博士」の解説

天文博士
てんもんはかせ

律令制の陰陽(おんみょう)寮に属し,天文を読みとること,天文の読みとり方を天文生に教えることを職務とする教官。正七位下相当。平安時代以降は天文道極官。定員1人,のち権博士1人がおかれた。中国では隋・唐初に天文博士がおかれている。天文博士は天文異変を見つけると,異変とその解釈を書き記して密封し,天皇に奏上したが,これを天文密奏という。院政期以降は安倍氏が独占した。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「天文博士」の意味・わかりやすい解説

天文博士
てんもんはかせ

令制の中務 (なかつかさ) 省陰陽寮 (おんようりょう) に所属する職名。天文を観測し,異変があれば密奏し,また天文生 10人の教導にあたった。規定では正七位下の職であったが,のちには五位以上のものがこれに任じるようになった。

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世界大百科事典(旧版)内の天文博士の言及

【天文道】より

…太陽,月,星,風,雲などの天然現象を観測し,その変異によって吉凶禍福を判断する術で,陰陽道(おんみようどう)と深い関係にある迷信的なものであった。日本には7世紀初頭に百済より僧観勒によって伝えられたのが最初とされるが,律令官制では中務省の被管の陰陽寮に天文博士1人を置いてそのことをつかさどらせ,また天文生10人に技術を伝授した。当時,天文に関する図書は関係者以外は見ることを許されず,また天文生は観測結果を他人にもらすことを禁ぜられるなど,厳しく規制されていた。…

※「天文博士」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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