日本大百科全書(ニッポニカ) 「天照皇大神宮教」の意味・わかりやすい解説
天照皇大神宮教
てんしょうこうたいじんぐうきょう
北村サヨが1945年(昭和20)に創唱した新宗教。彼女を宇宙絶対神の宿る人間とみて、その説法を信奉する。教義では、自己中心的な心を捨て、無我の境地に達することが人生の目的とされる。信者はこの境地を象徴して「無我の舞(まい)」を舞うため、通称「踊る宗教」といわれた。祈るときには「名妙法連結経(なみょうほうれんげきょう)」と繰り返し唱える。内省を重視して仏壇や墓をもたず、いわゆる祖先崇拝は行わないが、その世界観には憑(つ)き物(もの)などの民間信仰的要素も認められる。第二次世界大戦直後、北村サヨのカリスマ的魅力も手伝って急激に組織が大きくなった。本部は山口県熊毛(くまげ)郡田布施(たぶせ)町にある。神社数1、その他267、信者数48万0446(『宗教年鑑』平成26年版)。彼女の死後は孫娘の清和(きよかず)が後を継いだ。
[藤井健志]
『森秀人著『蛆の乞食よ目をさませ』(1970・大和出版)』▽『渡辺雅子著『救いの体験と論理』(宗教社会学研究会編『宗教の意味世界』所収・1980・雄山閣出版)』