(1)室町末期~安土(あづち)桃山時代の堺(さかい)の豪商。姓は津田氏。寛正(かんしょう)~明応(めいおう)期(15世紀後半)に新次郎、又四郎らの名がみえ、日明(にちみん)貿易にも加わったことが知られる。天王寺屋の基礎を築いた宗柏(そうはく)(1444―1537)は、古今(こきん)伝授、茶の湯を学んだ風流人でもあった。その子宗達(そうたつ)、孫宗及(そうきゅう)はともに堺三十六人会合(えごう)衆に名を連ねた。宗及は、織田信長が堺に矢銭を課したおり、これを受けて兵火を免れしめたという。
(2)江戸時代の大坂の豪商。姓は大眉(おおまゆ)氏。代々五兵衛(ごへえ)を名のる。初代五兵衛は、江戸初期大坂で初めての両替屋を始め、手形の振出しを創案したという。幕府の御用両替、諸藩の蔵元(くらもと)・掛屋(かけや)を勤めて繁栄し幕末に至った。
[川上 雅]
戦国期~織豊期の堺の豪商。堺材木町に居住し,姓を津田という。1527年(大永7)に没した宗柏とその子宗達の2代で,堺を代表する会合衆(えごうしゅう)となった。中国貿易商として知られる宗柏をはじめとし,貿易を業として豊後国方面と関係深く,宗達の弟道叱(どうしつ)はしばしば豊後に下って大友宗麟に重用されている。宗達は本願寺や阿波三好氏とも結んだ。茶をたしなむ者が多く,名物道具を収集し,茶会で各界各層と交わった。48年(天文17)から宗達以下3代が書き継いだ茶会記「天王寺屋会記」がある。宗達の子で織田信長・豊臣秀吉の茶頭となった宗及(そうぎゅう)のときに最も栄えた。その子宗凡の死後は家業が衰え,弟の大徳寺56世江月宗玩(こうげつそうがん)に会記や諸道具が伝えられた。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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