日本大百科全書(ニッポニカ) 「奈井江」の意味・わかりやすい解説
奈井江(町)
ないえ
北海道中西部、空知(そらち)総合振興局管内の町。1950年(昭和25)町制施行。地名はアイヌ語「ナエイ」(谷川)の転訛(てんか)といわれ、奈井江川に由来する。町域は石狩(いしかり)川右岸低地から東の夕張(ゆうばり)山地に及ぶ。1886年(明治19)囚人により道路(現、国道12号)が開かれ、さらに鉄道(現、JR函館(はこだて)本線)が岩見沢(いわみざわ)から延び、区画設定されて移住者の増加をみた。交通施設はほかに道央自動車道奈井江砂川インターチェンジがある。大正年間に平野部の水田化が進み、空知穀倉地帯の一環となる。現在ではメロン、トマトジュースなども産品となっている。山地部は第二次世界大戦時から戦後にかけ炭鉱開発が進んだが、石炭不況により1973年(昭和48)までにすべて閉山した。北海道電力奈井江火力発電所(1968年運転開始)があり、工場誘致により電気関連の工業が進出した。2019年(平成31)3月、奈井江火力発電所は老朽化のために運転を休止、以降は災害などで電力が逼迫(ひっぱく)する事態に備えて設備は維持し、非常駐運用を行っている。面積88.19平方キロメートル、人口5120(2020)。
[柏村一郎]
『『奈井江町百年史』上・下・追史(1990、1991・奈井江町)』