姿三四郎(読み)スガタサンシロウ

デジタル大辞泉 「姿三四郎」の意味・読み・例文・類語

すがたさんしろう〔すがたサンシラウ〕【姿三四郎】

富田常雄長編小説。昭和17年(1942)刊行講道館四天王一人西郷四郎モデルとされる、天才柔道家姿三四郎成長を描く。黒沢明監督、岡本喜八監督が映画化しているほかテレビドラマなど多数映像化されている。

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改訂新版 世界大百科事典 「姿三四郎」の意味・わかりやすい解説

姿三四郎 (すがたさんしろう)

講道館の門人第1号で柔道家として著名な富田常次郎(1865-1937)の子で作家の富田常雄(1904-67)が,1942年に発表した小説。これが彼の出世作となった。苦学しながら警視庁の武術試合に出場するまでにいたる柔道家を描いた物語だが,1943年に黒沢明の監督第1作として映画化されたことで一躍評判となった。また,いわゆる名勝負物語として,小菅一夫脚色で浪曲化され,落語家式のすわり高座で売った2代広沢菊春(1916-64)が十八番にしていた。
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デジタル大辞泉プラス 「姿三四郎」の解説

姿三四郎

①富田常雄の長編小説。天才柔道家、姿三四郎の成長を描く。1942年刊行。
②1943年公開の日本映画。①を原作とする。監督・脚色:黒澤明、撮影:三村明。出演:藤田進、大河内伝次郎月形龍之介、轟夕起子ほか。黒澤明の初監督作。
③1977年公開の日本映画。①を原作とする。監督:岡本喜八、脚本:隆巴。出演:三浦友和、仲代達矢、若山富三郎、秋吉久美子、中村敦夫ほか。第20回ブルーリボン賞助演男優賞(若山富三郎)受賞。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「姿三四郎」の解説

姿三四郎 すがた-さんしろう

富田常雄の同名の小説の主人公。
明治初期17歳で会津(あいづ)から上京,矢野正五郎(しょうごろう)の紘道(こうどう)館で柔道の修業をつづけ四天王のひとりとなる。三四郎のモデルは講道館の西郷四郎とされる。作品は昭和17年に発表,翌年黒沢明により映画化され,藤田進が演じた。

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世界大百科事典(旧版)内の姿三四郎の言及

【活劇映画】より

… これらの作品には外国映画を模倣したものが数多く,ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督の《暗黒街》(1927),《非常線》(1928),《紐育の波止場》(1929),ジョン・フォード監督の《三悪人》(1925),ハワード・ホークス監督の《暗黒街の顔役》(1930,32)などが大きな影響を与えており,それはさらにギャング映画の流行となって,村田実監督,中野英治主演《摩天楼》(〈争闘篇〉1929,〈愛欲篇〉1930),田坂具隆監督,小杉勇主演《昭和新撰組》(1932),小津安二郎監督,岡譲二主演《非常線の女》(1933)などを生み出した。やがて第2次世界大戦の進展とともに,映画興行も制限され,外国活劇のヒットは見られたものの,日本の活劇は,わずかに黒沢明の柔道映画《姿三四郎》(1943),《続・姿三四郎》(1945)を例外として,戦争活劇が主体になっていった。
[戦後の活劇]
 戦後の活劇の隆盛をもたらしたのは新会社,東映で,前身の東横時代から,占領軍による時代劇規制のもと,時代劇スターが現代劇に出演,片岡千恵蔵の《多羅尾伴内》シリーズ(1947‐60)や《にっぽんGメン》(1948),市川右太衛門の《ジルバの鉄》(1950),両者共演の《難船崎の決闘》(1950)などがつくられ,これらの探偵活劇や暗黒街活劇は〈時代劇王国〉東映のもう一つの顔になった。…

【西郷四郎】より

…当時残存の柔術諸流の強豪と試合してこれらを破り,講道館柔道の真価を世に示した。〈講道館四天王〉の一人に数えられ,得意技の〈山嵐〉は有名で,富田常雄の小説《姿三四郎》のモデルといわれる。87年に東京帝国大学で柔道を指導し,嘉納治五郎の第1回外遊(1889)の折には師範代をつとめ,柔道の普及発展に努力した。…

【月形竜之介】より

…その間のおもな作品に,傾向映画の代表作といわれる伊藤大輔監督《斬人斬馬剣(ざんじんざんばけん)》(1929)のほか,《白野弁十郎》《弥藤太昇天》《暁の市街戦》《神風連》《桃中軒雲右衛門》《月形半平太》がある。40年ころから脇役にまわることが多くなり,黒沢明監督《姿三四郎》(1943)の檜垣源之助役,谷口千吉監督《ジャコ万と鉄》(1949)のジャコ万役などの風格ある悪役で好評を博し,やがて東横映画(のち東映)に入社して,マキノ雅弘監督《殺陣師段平》(1950)の段平役のほか,《水戸黄門》シリーズの黄門役など,東映時代劇の名脇役として円熟の芸を見せた。なお,長男も月形哲之介を芸名に時代劇で活躍した。…

※「姿三四郎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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