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嫡出推定

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

嫡出推定

結婚している妻が出産した子は夫の子(嫡出子)と推定する、と定めた民法規定。父親を早期に決めて親子関係を安定させることが子の利益につながる、との考えにもとづく。1898(明治31)年に定められたもので、DNA型鑑定などは想定していない。ただし、子の出生を知ってから1年以内に限り、夫は父子関係の取り消しを求められるとしている。

(2014-07-18 朝日新聞 朝刊 1総合)

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デジタル大辞泉の解説

ちゃくしゅつ‐すいてい【嫡出推定】

妻が婚姻中に懐胎した子を、法律上、夫の子と推定すること。婚姻の成立から200日経過後、または離婚後300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定され、夫以外の男性との間に生まれた子であっても、出生届を提出すると夫婦の嫡出子として戸籍に記載される。
[補説]民法772条の規定によるもので、扶養義務を負う父親を早期に確定し、子の身分関係を安定させることが目的。嫡出推定を否定するには、嫡出否認親子関係不存在確認などの手続きが必要。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

嫡出推定
ちゃくしゅつすいてい

婚姻中に妻が妊娠した子を、原則として夫の子(嫡出子)とみなすこと。民法に規定された法律用語である。民法第772条は嫡出推定について二つの規定を設けており、一つ目は結婚している妻が妊娠した子は夫の子とみなすという規定。もう一つは、婚姻成立の日から200日後、または離婚後(婚姻解消や婚姻取消しの日から)300日以内に生まれた子は、婚姻中に妊娠したとみなすとの規定である。妻が夫以外の男性の子を妊娠した場合も、同規定により、血縁関係の有無にかかわらず、夫と子が法律上の親子となる。早期に子供の戸籍を確定して扶養義務を負う父親を法的に明確にすることが、子供の利益や権利保護につながるとの考え方に基づく。夫が子の出生を知ったときから1年以内に嫡出否認の訴えを起こし判決で認められない限り、嫡出推定は有効となる。
 しかし嫡出推定規定が設けられたのは、血縁関係を科学的に証明できなかった1898年(明治31)であり、DNA鑑定の登場、生殖補助医療の進歩、家族・夫婦関係の価値観の多様化などにより、嫡出推定の概念と現実との乖離(かいり)が生じており、日本の法整備の遅れが指摘されている。たとえば、離婚後に前夫以外の男性の子を妊娠し早産した場合、前夫の子となる嫡出推定を回避するため、出生届を出せず、子供が「無戸籍児」となることが社会問題化した。このため法務省は2007年(平成19)5月、離婚後300日以内に生まれた子でも、離婚後に妊娠したことが医学的に証明できる場合は、前夫以外の者を親と認めるとの民事局長通達を出した。また最高裁判所判例で、夫がずっと遠隔地で暮らしているなど、明らかに夫婦の接触がない場合には、民法第772条の嫡出推定規定は適用されないとしている。嫡出推定に関する近年の特徴的な判例には、2011年から2012年にかけて、大阪家庭裁判所と大阪高等裁判所が、嫡出推定に基づき、いったん法的な親子関係と規定した父子関係について、DNA鑑定を根拠に親子関係を取り消した判決(最高裁で審理中)や、2013年12月の、性同一性障害のため女性から男性に性別を変更した夫と、その妻の子(第三者の提供による精子で妊娠した子)について、嫡出推定規定に基づき、法的な父子関係を認めた最高裁判決がある。[編集部]

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