近世、浄土宗白旗(しらはた)派の高僧。貞蓮社源誉(ていれんじゃげんよ)、慈昌(じしょう)、普光観智国師(ふこうかんちこくし)ともいう。武蔵(むさし)国(埼玉県)埼玉郡由木(ゆき)の由木利重(とししげ)の次男として生まれる。存貞(ぞんてい)(1522―1574)、円也(えんや)(?―1584)に浄土宗義を学び、1584年(天正12)増上寺12世となり、1590年徳川家康が関東に入るや、家康の宗教政策を利用して、増上寺を本山の地位に押し上げ、浄土宗の檀林(だんりん)制度の基礎を確立した。家康の臨終時に十念を授与し、遺言によって増上寺での葬儀の導師を務め、境内に御霊屋(おたまや)を建てて供養(くよう)した。増上寺中興の祖といわれる。その門弟はきわめて多く、廓山(かくざん)、了的(りょうてき)(1567―1630)、呑竜(どんりゅう)、随波(ずいは)(1563―1635)、慶巌(けいごん)(1554―1617)、良阿(りょうあ)(?―1638)、潮呑(ちょうどん)、源受(げんじゅ)、智哲(ちてつ)、祖的(そてき)などがいる。著書に『論義浄土決択(けっちゃく)集』『浄土論蔵集』『十八通私記』などがある。
[廣川尭敏 2017年9月19日]
『玉山成元著『普光観智国師』(1970・白帝社)』▽『玉山成元著『中世浄土宗教団史の研究』(1980・山喜房仏書林)』
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(林淳)
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…江戸幕府は各宗の法度(はつと)で宗学研鑽のための就学を義務づけたが,また各宗でも宗学を中心とする仏教研究が急速に発展し,住職となるために一定期間学林などで学ぶことを求めた。その主要なものを示すと,浄土宗鎮西派では,中世に各地の談所が設けられたが,江戸時代初頭に増上寺存応は徳川家康と謀り,芝増上寺,小石川伝通院などの江戸五檀林と,鎌倉光明寺,武蔵鴻巣勝願寺などの田舎十三檀林の,いわゆる関東十八檀林を定めた。同宗西山派でも山城粟生光明寺,京都禅林寺などの七檀林を設け,同宗名越(なごえ)派でも下野大沢円通寺などの二檀林を開いた。…
※「存応」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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