材料の基準強さと許容応力の比で求められる係数をいう。機械や構造物が実際に使用されるときは、各種の荷重が加わり、それらを構成している各部分は変形し応力を生ずる。したがって、機械や構造物がその機能を安全に果たすためには、各部分がそこに生ずる応力に耐え、不都合な変形もおこらないように設計されなくてはならない。材料が各種の荷重に対してどの程度の強さをもつかは材料試験により求めることができるが、材料の強さにはばらつきがあり、加工や熱処理の仕方、使用環境によっても変わる。また、使用時に加わる荷重も推定したものより大きくなる可能性がある。さらに、機械や構造物が複雑になると、荷重によって各部分に生ずる応力や変形の計算の不正確さも考えられる。このように荷重、材料および設計製作上の不確実性に備えるべき係数が安全率である。
これらの不確実性も考慮し、加わる応力がこの値までなら破壊や大変形が生ずることなく、機械などが安全に機能するという限界の応力を許容応力といい、設計応力はこの許容応力に等しいか、それより小さければよい。許容応力は、使用する材料の基準になる強度を安全率で除して求められる。基準の強度としては、材料の種類や荷重および予想される破壊の様式に応じて、降伏点、引張り強度、疲労強度、衝撃強度、クリープ強度などが用いられる。安全率は1よりつねに大きく、安全率が2であるということは、設計応力を許容応力に等しくとった場合、その2倍の応力が生じても基準とした強度を超えないということである。
[林 邦夫・中條祐一]
機械や構造物の破壊を避け安全を確保するため,設計に際しては使用する材料にどの程度の応力まで作用してよいかの上限を設ける。この上限の応力を許容応力という。許容応力は,当然その材料が破壊を起こす応力,すなわち破壊応力より小さくなければならない。この破壊応力と許容応力との比を安全率,または安全係数という。安全率を大きくとるほど破壊の危険性は減るが,同時に多くの材料を使用することになるので不経済となり,また重量も増す。したがって,安全性が確保される範囲内でなるべく安全率を小さくとるのがよいが,加わるべき荷重や材料の強さに未知の要因が含まれている場合,とくに人命に関係している場合には安全率を大きくとらなければならない。
執筆者:堀 幸夫
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