(読み)シン

デジタル大辞泉の解説

しん【津】[漢字項目]

常用漢字] [音]シン(呉)(漢) [訓]
〈シン〉
舟着き場。渡し場。「津渡/河津入津要津
体から出る液体。つば・汗など。「津液
次々とわき出てうるおす。「興味津津
〈つ〉「津波津津浦浦
[名のり]ず

つ【津】

船が停泊する所。また、渡船場。ふなつき場。港。「三箇(さんが)の
「海上(うなかみ)のその―をさして君が漕(こ)ぎ行かば」〈・一七八〇〉
港をひかえて、人の多く集まる所。また一般に、人の多く集まる地域。
「十四日の夕暮、敦賀の―に宿をもとむ」〈奥の細道

つ【津】[地名]

三重県中部、伊勢湾に面する市。県庁所在地。もと藤堂氏の城下町。県行政・文教中心地。古く、安濃津(あのつ)と称し、三津(さんしん)の一。平成18年(2006)1月、久居(ひさい)市や周辺8町村と合併。人口28.6万(2010)。

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百科事典マイペディアの解説

津【つ】

船舶が出入りする海岸・河岸の交通の要地。(とまり)とも称し,のち(港)などとよばれるようになった。古代律令制下では国家貢納物を移出する国津国府外港)や郡衙(ぐんが)の外港として機能した郡津があった。古代末期以降,荘園などの開発が進むに伴い各地に津が成立した。普通,津にはが付設され,その地域における重要な物資集散の場となった。鎌倉時代初期,伊勢神宮がその神人(じにん)に対する津料賦課の免除を〈諸国往反津泊預〉に要求した例にみられるように,中世には各地で通関税である津料(勝載(しょうさい)料・官食料・置石・升米・帆別銭などともいう)が徴収されていた。津料,あるいは市場税も合わせた市津料の一部は,津の諸施設の維持管理のために使用された。津の中には中世都市として発展し,伊勢国桑名の〈十楽の津〉や泉州のように自由都市となる場合もあった。おもなものに7〜8世紀に栄えた難波(なにわ)津や日本三津とされる薩摩坊津(ぼうのつ)・筑前博多津・伊勢安濃津(あのつ)などがある。なお日本三津は明(みん)の《武備志(ぶびし)》にみえ,三箇の津ともよばれた。→港湾港町

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世界大百科事典 第2版の解説

つ【津】

船舶の来着・出発する海岸・河岸の交通要地の総称。ただし,地名としては,多く,特定の機能上,地形上の特徴を有する(みなと)・(とまり)・渡しなどに該当しない場合に付される。川の場合は川津と称する。古代律令制社会では,民部省の管掌下,国郡司による国家的管理をうけた。中世では,その伝統をひく国津(国府の外港)が重要な位置を占め続けるとともに,《庭訓往来》に領地開発の際設置すべきものとして〈廻船着岸之津〉が上げられているように,さまざまな津が各地域の開発にともなって簇生した。

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大辞林 第三版の解説

つ【津】

海岸・河岸の船舶が来着する所。船つき場。渡し場。港。
特に、船つき場や渡し場に対して、物資が集散し、集落が形成された所。港町。

つ【津】

三重県中部の市。県庁所在地。伊勢湾に臨み、古く、安濃津あのつといい、三津さんしんの一。近世は藤堂氏の城下町。伊勢平野の商工業の中心。専修せんじゆ寺がある。

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精選版 日本国語大辞典の解説

つ【津】

[1] 〘名〙
① 海岸・河口・川の渡し場などの、船舶の停泊するところ。船つき場。港。
※古事記(712)下「浪速の渡りを経て青雲の白肩(しらかた)の津(つ)に泊てたまひき」
※万葉(8C後)一九・四二四六「沖つ波辺波な越しそ君が船漕ぎ帰り来て津(つ)に泊つるまで」
② 泉など、水の湧き出るところ。
※万葉(8C後)九・一七五九「鷲の住む 筑波の山の 裳羽服津(もはきつ)の その津(つ)の上に 率(あども)ひて 未通女壮士(をとめをとこ)の 行き集ひ」
③ 港をひかえて人の集まる土地。港町。また、一般に人の多く集まる地域をいう。古代には薩摩坊津(ぼうのつ)・筑前博多津・伊勢安濃津を三箇(さんが)の津と呼び、また、江戸時代には、特に京都・大坂・江戸を三箇の津と称した。
※評判記・吉原用文章(1661‐73)五三「山しろの国、あわたくちとやらんの〈略〉津におかれし事」
※俳諧・奥の細道(1693‐94頃)敦賀「十四日の夕ぐれつるがの津に宿をもとむ」
[2] 三重県中東部の地名。県庁所在地。伊勢湾に面し、伊勢平野の中央部を占める。中世までは日本三津の一つに数えられ、室町時代には対明貿易で栄えた。江戸時代は、藤堂氏三十二万石の城下町、伊勢別街道・伊賀街道との結節点にある伊勢(参宮)街道の宿場町として繁栄。真宗高田派の本山、専修(せんじゅ)寺などがある。明治二二年(一八八九)市制。旧名安濃津(阿野津)。

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世界大百科事典内のの言及

【渡し】より

…官道においても渡海を要する場所は〈渡〉と呼ばれたようで,《出雲国風土記》に〈隠岐の渡,千酌(ちくみ)の駅家(うまや)の浜〉とある。《延喜式》によれば越後国の渡戸駅に船2艘を配しているのも,佐渡国の渡津であったからであろう。《続日本後紀》の承和2年(835)条には,東海道,東山道の河津において,渡舟が少なく橋の設備もないため,諸国から調を京に運ぶ運脚夫たちが渡ることができないので,渡舟2艘を増すべき旨の勅が記されている。…

【港湾】より

…船を安全に出入り,停泊させ人や貨物などの水陸輸送の転換を行う機能をもつ沿岸域の空間。日本では古来,(つ),(みなと),(とまり)などと称していた。これらの語に代わって新たに港湾ということばがつくられ用いられるようになったのは明治になってからである。…

【旅券】より

…【山本 泰男】
[中国]
 中国では古来国内旅行にも身分証明書を必要とした。旅行者を取り締まるため陸上交通では関,水上交通では津を置いた。漢代では旅行者の身分を証明する文書は一般に伝と呼ばれたが,そのうち木簡に書いたものを棨(けい)といい,本人の居住する郷の嗇夫(しよくふ)という官が前科のない旨を証明し,県の長吏が副署し,津関においてとどめないように依頼する形式であった。…

※「津」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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