第27代天皇。継体(けいたい)天皇の長子。母は尾張連目子媛(おわりのむらじめのこひめ)。諱(いみな)は勾大兄(まがりのおおえ)。国風諡号(しごう)は広国押武金日尊(ひろくにおしたけかなひのみこと)。『日本書紀』安閑即位前紀に継体天皇25年(531)即位、元年紀には甲寅(きのえとら)年(534)即位とあって矛盾し、一方『書紀』に540年即位とある欽明(きんめい)天皇が、『法王帝説(ほうおうていせつ)』によると532年即位となる。そこで、継体の没後嫡子欽明が立ったが、まもなくこれに反発して庶兄安閑が並び立ったとも解しうる。『書紀』によると、皇居は勾金橋宮(まがりのかなはしのみや)(奈良県橿原(かしはら)市曲川(まわりかわ)町)、在位2年、古市高屋丘陵(ふるいちのたかやのおかのみささぎ)(大阪府羽曳野(はびきの)市古市)に葬られた。在位中、全国各地に30余りの屯倉(みやけ)が設置されたと伝えるのは、安閑朝が動乱期であったことを示すものであろう。
[黛 弘道]
(大平聡)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報
記紀系譜上の第27代天皇。6世紀前半の在位という。勾大兄(まがりのおおえ)皇子・広国押武金日(ひろくにおしたけかなひ)天皇と称する。継体天皇の長子。母は尾張連草香(おわりのむらじくさか)の女目子媛(めのこひめ)。「日本書紀」によると,継体の死後,3年たって即位したことになるが,この間,異母弟欽明天皇との間に対立がおこり,内乱もしくは2朝並立の事態が生じたとする説もある。「日本書紀」には,この天皇の代のこととして多くの屯倉(みやけ)・名代(なしろ)の成立が伝えられる。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…6世紀前半の継体朝末年に皇位継承をめぐって勃発したと想定されている内乱。《日本書紀》では継体天皇の死をその25年辛亥(531)のこととし,安閑天皇1年(534)までの2年間は空位とされる。一方,仏教公伝を《日本書紀》が壬申年(552)とするのに対し戊午年(538)として伝える《上宮聖徳法王帝説》や《元興寺縁起》によれば,欽明天皇の即位は辛亥年となって先の継体没年とつながり,その間に安閑・宣化2天皇の治世をいれる余地がない。…
※「安閑天皇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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