明治憲法下における一般官吏の義務を規律した勅令で,1887年(明治20)公布。軍人,警察官,裁判官などはその対象外にあった。1871年太政官職制設置に伴い,官吏の休暇や勤務時間について太政官達が出され,79年には服務心得が布告された。次いで82年自由民権運動への対応に苦しむ地方官統制のため,地方巡察使派遣規定に特色をもつ行政官吏服務紀律が制定された。さらに85年内閣制度創設に伴い,87年これは全文改正され官吏服務紀律となった。この特色は,第1に官吏の服務のありかたを天皇に対する絶対的な忠誠として強調したことである。第2に執務の義務,従順の義務,忠実の義務,秘密を守る義務,品位を保つ義務などが詳しく規定され,家族に商業従事を禁じ,浪費,分不相応の負債の禁止など,日常の私生活まできびしく規制していた。それは現在の国家公務員法と比較しても詳細である。かくて天皇への忠誠心の高揚と厳格な倫理的規制とにより,官吏の選別意識がはぐくまれた。官吏服務紀律は,明治憲法下ではついに一度も改正されず,敗戦後1947年に天皇への忠誠の削除などの改正を経て一時的に有効とされたが,国家公務員法の施行(1948年7月)により廃止。
→官吏
執筆者:御厨 貴
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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