特定の通貨の価値が、世界の主要な外貨に対して高いか低いかを示す総合的な指数。たとえば円に対してアメリカ・ドル、ユーロ、中国・人民元、韓国・ウォン、オーストラリア・ドルなど複数通貨との為替レートが存在することを踏まえ、二国間の為替レートだけではわからない、その通貨の国際的な実力を示す指標である。つまり、実効為替レートは多通貨に対する為替レートの合成値であり、おもに国際的な輸出競争力を示すとされている。実効為替レートの算出は、まず主要外貨との間の為替レートを、一定時点を100として指数化し、輸出入の多い外貨ほど影響力があるとの前提で、それぞれの外貨を発行する国・地域との貿易額に応じて指数を加重平均して計算する。実効為替レートは、数値が高いほどその通貨価値が高く、輸出競争力がそがれていることを示す。逆に、数値が低いほど通貨価値が低く、輸出競争力があることを示している。実効為替レートに、相手国・地域の物価水準を加味して算出した指数を実質実効為替レートとよび、物価水準を加味しない指数を名目実効為替レートという。国際決済銀行(BIS)や国際通貨基金(IMF)は毎月、世界各国の実効為替レートを公表しており、これを参考に世界各国の中央銀行も自国の実効為替レートを公表している。
日本では、日本銀行が1970年(昭和45)から実効為替レートの公表を始め、2022年(令和4)時点では約60か国・地域の通貨に対して算出した値を毎月公表している。また、名目実効為替レートについては毎日公表している。日本銀行の公表値(2010年を100とした指数)によると、円の実質実効為替レートは、1970年8月に57.1と最低となった後、1973年の変動相場制移行や1985年のプラザ合意を経て、ほぼ一貫して上昇。円が1ドル=80円を突破して、急激な円高になった1995年(平成7)4月には150.84と過去最高を記録した。その後、日本の物価が下がり続けるデフレーションや海外の物価上昇に加え、日本銀行が2013年(平成25)から実施した量的・質的金融緩和(異次元緩和)の影響もあり、低下傾向にある。2022年3月には65.26と1972年以来の低水準になった。
[矢野 武 2022年7月21日]
(高成田享 朝日新聞記者 / 2008年)
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