最御崎寺(読み)ほつみさきじ

精選版 日本国語大辞典 「最御崎寺」の意味・読み・例文・類語

ほつみさき‐じ【最御崎寺】

高知県室戸市室戸岬町にある真言宗豊山派の寺。山号は室戸山。明星院と号する。大同二年(八〇七)空海の開創。嵯峨天皇以来の勅願寺足利氏により土佐国安国寺にあてられ、山内氏が再興。西方の行当岬(ぎょうどざき)にある金剛頂寺を西寺と呼ぶのに対し、東寺と呼ばれる。四国八十八箇所の第二四番札所。

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デジタル大辞泉 「最御崎寺」の意味・読み・例文・類語

ほつみさき‐じ【最御崎寺】

高知県室戸市にある真言宗豊山派の寺。山号は、室戸山。四国八十八箇所第24番札所。大同2年(807)空海の開創と伝える。室町初期、足利尊氏あしかがたかうじが土佐の安国寺とし、江戸時代には藩主山内氏が再興した。東寺ひがしでら

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日本歴史地名大系 「最御崎寺」の解説

最御崎寺
ほつみさきじ

[現在地名]室戸市室戸岬町 坂本

太平洋に突出す室戸岬の山上、標高一六〇メートルの地にある。真言宗豊山派で、本尊虚空蔵菩薩。室戸山明星院と号する。行当ぎようど岬にある金剛頂こんごうちよう寺を西寺にしでらというのに対し、東寺ひがしでらとよばれる。四国霊場八十八ヵ所の二四番札所で、御詠歌に「明星の出でぬる方の東寺くらき迷いはなどかあらまし」とうたわれる。近年岬の西麓から境内を経て山頂に至る室戸スカイラインが開通した。

空海が青年期に修行したゆかり(→室戸岬により、唐より帰朝後の大同二年(八〇七)に創建したと伝える寺で、嵯峨天皇の勅願所とも伝える。もっとも「南路志」には初め北方七キロの四十寺しじゆうじ山山上にあって、中古現在地へ移転したとの伝えが記され、寛徳元年(一〇四四)以降の院主次第の注進状(「南路志」所引)があることから、その頃を移転の時期とする説もある。土佐国の名刹とされながら、建仁二年(一二〇二)・永禄六年(一五六三)など再三の火災により縁起や古文書をことごとく焼失、仏像も石造如意輪観音像・木造薬師如来坐像および月光菩薩立像(以上国指定重要文化財)、そのほか八躯の破損像があるにすぎない。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「最御崎寺」の意味・わかりやすい解説

最御崎寺
ほつみさきじ

高知県室戸(むろと)市の室戸岬南端の台地にあり、真言(しんごん)宗豊山(ぶざん)派に属する寺。四国八十八か所第24番札所。室戸山明星(みょうじょう)院と号し、行当(ぎょうとう)岬の金剛頂寺(こんごうちょうじ)(真言宗豊山派)を西寺(にしでら)というのに対し、東寺(ひがしでら)という。本尊は虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)。807年(大同2)空海の開創といわれ、台地の下の洞窟(どうくつ)は若き日の空海が修行した霊跡として知られる。その後盛衰はあったが、室町初期、足利尊氏(あしかがたかうじ)により土佐(高知県)の安国寺に指定され、江戸時代には土佐藩主山内氏により再興。本尊虚空蔵菩薩像は空海自刻と伝えられる秘仏で、寺宝には木造の薬師如来(やくしにょらい)・月光(がっこう)菩薩像、もと岩屋内に安置されていた石造如意輪(にょいりん)観音半跏(はんか)像(以上3点、国重要文化財)がある。

[勝又俊教]


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百科事典マイペディア 「最御崎寺」の意味・わかりやすい解説

最御崎寺【ほつみさきじ】

高知県室戸(むろと)市の室戸岬山上にある真言宗豊山(ぶさん)派の寺。本尊虚空蔵菩薩。行当(ぎょうど)岬にある金剛頂(こんごうちょう)寺を西(にし)寺というのに対し,東(ひがし)寺と呼ばれる。四国八十八ヵ所24番札所。807年空海開創,嵯峨(さが)天皇の勅願所と伝える。再三の火災により縁起や古文書を焼失,石造如意輪観音像・木造薬師如来座像・月光菩薩立像(以上重要文化財)などが残る。

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デジタル大辞泉プラス 「最御崎寺」の解説

最御崎(ほつみさき)寺

高知県室戸市にある寺院。真言宗豊山派。807年開創と伝わる。山号は室戸山、院号は明星院。本尊は虚空蔵菩薩。室戸岬突端に位置する。四国八十八ヶ所霊場第24番札所。「東寺」とも呼ばれる。

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世界大百科事典(旧版)内の最御崎寺の言及

【室戸岬】より

…空海修行の地で,その著《三教指帰(さんごうしいき)》に〈土州室戸崎〉と記されている。唐より帰国ののち,岬の山上に807年(大同2)建立したと伝えるのが最御崎(ほつみさき)寺(四国八十八ヵ所24番札所)で,行当岬近くにある金剛頂寺(26番札所)を西寺(にしでら)とよぶのに対し東寺とよばれる。海食洞の御蔵(みくら)洞,一夜建立の岩屋など,付近には空海にかかわる伝承を伝えるものが多い。…

※「最御崎寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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