室韋(読み)シツイ(その他表記)Shì wéi

デジタル大辞泉 「室韋」の意味・読み・例文・類語

しつい〔シツヰ〕【室×韋/失×韋】

6世紀から10世紀にかけて、中国北東部の嫩江のんこう流域中心に居住した部族蒙古族ツングース族との混血といわれる。以降は、韃靼だったん阻卜そぼく同義に用いられた。

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精選版 日本国語大辞典 「室韋」の意味・読み・例文・類語

しついシツヰ【室韋・失韋】

  1. 〘 名詞 〙 中国、南北朝時代、東北地方北部の嫩江(のんこう)流域を中心に東蒙古一帯に分布した民族モンゴルツングースの混血といわれ、隋唐以後は韃靼(だったん)阻卜(そぼく)と同義に用いられた。〔北史‐室韋伝〕

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改訂新版 世界大百科事典 「室韋」の意味・わかりやすい解説

室韋 (しつい)
Shì wéi

6~11世紀に中国東北を中心に居住した部族の集団。失韋とも記す。544年(武定2)東魏に朝貢して,その存在が知られるようになった。隋代に嫩江(のんこう)沿いに5部に分かれて居住し,農耕狩猟を営んでいた。唐代には東方に広がり,またモンゴル高原北東部に居住し牧畜,狩猟を営む多くの部が加わり,20余部となった。これら西方の室韋は,突厥,ウイグルと境を接し,彼らによってタタールと称された。またこれらの室韋の中には,のちの蒙古(モンゴル)が蒙兀(もうごつ)(蒙瓦(もうが))部という名で含まれていた。室韋諸部の主体はモンゴル系であったと考えられる。
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山川 世界史小辞典 改訂新版 「室韋」の解説

室韋(しつい)
Shiwei

失韋とも書く。544年に東魏に初めて朝貢して史料に現れる。大興安嶺東部の嫩江(のんこう)流域を本拠とし,隋代には大興安嶺の西にも広がり,さらに唐代には東は黒水靺鞨(まっかつ),西は突厥(とっけつ),南は契丹(きったん)と接していた。室韋はトゥングース系とモンゴル系の諸部族の連合体と考えられている。大興安嶺の西の室韋は突厥からタタルと呼ばれ,また大興安嶺北西部の室韋のなかにはのちの蒙古(モンゴル)民族につながる蒙兀(もうごつ)室韋の名がみえている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「室韋」の意味・わかりやすい解説

室韋
しつい
Shi-wei; Shih-wei

6世紀中頃から唐代まで中国東北地方 (旧満州) にいた部族。初めチチハルを中心として嫩江 (のんこう) の下流域を本拠としていたが,次第に勢力範囲を拡大し,唐代には,東は黒竜,松花両江の合流点,西はモンゴル高原の突厥,南は契丹に接するにいたった。突厥,契丹などとともに中国の北辺に侵入することもあったが,統一国家を建てることはなかった。室韋という名称を鮮卑という名に関係づけたり,その人種をモンゴルとツングースとの混血とする説があるが,明らかでない。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「室韋」の意味・わかりやすい解説

室韋
しつい

中国、南北朝時代、6世紀中ごろから唐代まで、中国東北地区を本拠とした民族。モンゴル系にツングース系が混血したものという。初め興安嶺(こうあんれい)の東に拠(よ)っていたが、隋(ずい)代にしだいに勢力を広め、唐代にはその領域は黒竜江(アムール川)・松花江の合流点からモンゴル高原の突厥(とっけつ)に接するに至った。中国と交易を行うことが多かったが、ときには、突厥、契丹(きったん)などとともに中国北辺に侵入した。しかし、統一国家を建設するには至らなかった。唐代、興安嶺の西にいた蒙兀(もうごつ)室韋の後裔(こうえい)が、チンギス・ハンの出たモンゴルである。

[護 雅夫]

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旺文社世界史事典 三訂版 「室韋」の解説

室韋
しつい

6世紀半ばごろから唐代まで中国東北地方に拠った部族の名
のち唐代までに東部モンゴル一帯から長城地帯まで広がった。人種的にはモンゴル族にツングース族が混じったものと考えられている。

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