寛ぐ(読み)クツログ

デジタル大辞泉 「寛ぐ」の意味・読み・例文・類語

くつろ・ぐ【▽寛ぐ】

[動ガ五(四)]
1 仕事や心配ごとなどを忘れて、伸び伸びとする。心身をゆったりと休める。気がねなくのんびりと振る舞う。「温泉につかって―・ぐ」「―・いだ雰囲気」
2 窮屈な服装・姿勢などをやめて、楽なかっこうになる。「浴衣に着替えて―・ぐ」
3 能楽で、演者が演能の途中で観客に背を向けていることをいう語。一時的に、その登場人物が、場面から身を隠したことを意味する。
4 ゆるむ。ゆるくなる。
「冠かうぶりの額すこし―・ぎたり」〈源・若菜上〉
5 ゆとりがある。余地ができる。
「数定まりて、―・ぐ所もなかりければ」〈源・澪標〉
[可能]くつろげる
[動ガ下二]「くつろげる」の文語形。
[類語]憩う・リラックス・落ち着く・休む・休らう・休息する・休憩する・一休みする・小休止する・少憩する・一服する・一息入れる・骨休めする・休養する・息をつく・安らか・のどか・安穏・静か・麗らか・うらうら・穏やか・心静か・温和・物静か・おとなしやか・悠長・悠然・悠悠・悠揚・浩然・どっしり・気長・伸び伸び・伸びやか・のんびり・屈託無い・自然体・のんどり・大人しい・優柔・温順・柔順・従順・温柔・温良・順良・素直・控えめ・優しい・シャイ・しなやか・しとやか・なよやか・なよなよ・しっとり・物柔らか・静静・ソフト・おっとり・婉然えんぜん・しおらしい・閑語・たおやか・ナイーブ・心優しい・柔和・温雅・鷹揚おうよう・静心しずこころ・従容しょうよう・悠悠閑閑・おおどか・つつましい・奥ゆかしい・泰然自若・平静・冷静・しみじみ・しっぽり・しんみり・静まる・温顔・温容・春風駘蕩たいとう・穏便・粛粛・静謐せいひつ・静粛・平穏・安泰・安寧・小康・平和・和平・平安・安楽・気楽・楽楽・安逸・安易・安閑・閑閑・安息・温厚・楽天的・安堵あんど・穏和・平然・のうのう・ぬくぬく・のんき・のほほん・ゆるゆる・和やわらぐ・安らぐ・和なごむ・静穏・平らか・まったり・つつがない・イージーゴーイング・極楽蜻蛉とんぼ

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精選版 日本国語大辞典 「寛ぐ」の意味・読み・例文・類語

くつろ・ぐ【寛】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ガ五(四) 〙
    1. ① かたくしまっているものや、きっちりはまっているものなどが、ゆるむ。ゆるくなる。くずれる。
      1. [初出の実例]「上臈も乱れて、かうぶりの額、すこしくつろぎたり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
      2. 「揺(ゆるぐ)〈略〉つき山に立たる石も土龍(うごろもち)のほればくつろげり」(出典:俳諧・類船集(1676)由)
    2. ② 余地ができる。余裕がある。
      1. [初出の実例]「数さだまりて、くつろぐ所もなかりければ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)澪標)
    3. ③ ゆったりとした気分や状態になる。心が休まる。安心する。
      1. [初出の実例]「夜もやすくもねず、昼も心うちくつろぐ事なし」(出典:古今著聞集(1254)一二)
      2. 「鶯の声も寒き間は、渋て思ふほどは出ざるが、次第に暖になるに随て、くつろいで、笙歌のわき出るやうなぞ」(出典:中華若木詩抄(1520頃)中)
    4. ④ 危篤状態から脱して小康状態になる。
      1. [初出の実例]「昨日より御みやくいささかくつろくよし申」(出典:御湯殿上日記‐延徳二年(1490)一二月三日)
    5. ⑤ からだを楽にする。休息する。また、服装、姿勢、態度などを楽にする。
      1. [初出の実例]「『こちもちとゆさんをせうぞ』『おんでもなひ事、いづれくつろがずはなるまひ』」(出典:虎明本狂言・三本柱(室町末‐近世初))
      2. 「若し私が少しでもくつろいだ姿勢に変れたら」(出典:大津順吉(1912)〈志賀直哉〉四)
    6. ⑥ うちとけて人に接する。
      1. [初出の実例]「入鹿はおもき人なれども、いもにははやくくつろぎ」(出典:幸若・いるか(室町末‐近世初))
    7. ⑦ 演能の途中で、演者が一休みする。たとえば物着(ものぎ)をする場合、常座でうしろ向きになって装束をかえたりするのをいう。
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 ガ四段活用 〙 余地を作る。席を空け、ゆるやかにする。緊張をといて楽にさせる。
    1. [初出の実例]「はじめゐたる人々もすこしうち身じろぎ、くつろい、高座のもとちかきはしらもとにすゑつれば」(出典:枕草子(10C終)三三)
    2. 「蒲団の外へまで足を延ばして体をくつろぐ事も出来ない」(出典:病牀六尺(1902)〈正岡子規〉一)
  3. [ 3 ] 〘 他動詞 ガ下二段活用 〙 ⇒くつろげる(寛)

寛ぐの語誌

平安時代は、冠がゆるむ・居る場所がゆったりしているなど、物理的にものが密着していない状態をさして使用されている。そのゆるみを心の余裕に置き換えた、心が休まる・安心するなどの心理的用法が中世から現われる。前者の用法は、ユルムなどの語にその意を譲り、心理的用法は緊張状態にない意から、緊張状態をとく意へと拡大し、意味用法を広げた。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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